【wrwrd】伝説スナイパーの後継者２【ci】 (ページ26)

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勘の良い男ページ26

紹介を聞いた男は一瞬驚く。

そしてAとチーノの顔を見比べた後、優しい表情を浮かべ、Aの頭を撫でた。

「そうか…。やっと、ウィルさん以外の誰かと名のある関係を持てるようになったんだな。きっと…天国のウィルさんも喜んでるよ」
「え、この人も『伝説』の知り合いなん？」

チーノの問いに、男は、自己紹介がまだだったな、とチーノに向き直った。

「俺はウィル・テリアム御用達の武器屋の店長だ。あいにく名乗る名を持ち合わせていないんでね、好きに呼んでくれ」

人の良い笑顔で手を差し出してくる店長。
チーノはパッと作り笑いを浮かべ、その手を握った。

「申し遅れました、私、チーノと申します。わけあってAの師と弟子をしている保護者です。以後お見知りおきを」
「保護者ではありません」
「ええから！そういうことにしといて！」

チーノの挨拶にすかさずAが訂正をし、それを小声でチーノが制す。

2人の漫才のようなやり取りに、店長は手を叩いて笑い声を上げた。

「仲もいいようで何より！チーノとやら、俺は堅苦しいのが苦手なんでね。ついでに胡散臭いのも苦手だから、普通にしてくれや」

「…なんや、初対面やのに図太いおっさんやなぁ」

チーノの本質を見抜いていた店長は、皮肉を込めて笑ってみせる。
それに対し、チーノも笑って皮肉を返した。

「…で、今日は何の用で…って聞きたいところだが。折角久々に来たんだ。少し茶でも飲みながら話そうぜ」

店長が親指で店の奥を指し示す。

Aとチーノは顔を見合わせ、店長に振り向き同時に頷いた。