【wrwrd】伝説スナイパーの後継者２【ci】 (ページ13)

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自身の影響力ページ13

「そして三つ目が…チーノさん」
「ん？何？」
「三つ目の理由は、チーノさんです」
「俺…？」

思ってもみなかった返答に、チーノは思わず自身を指差して聞き返す。
Aはゆっくり頷いた。

「チーノさんは、表情が読みづらい私の思っていることも分かってしまえる程に、感情の機微に鋭いです」
「えっう、うん…？」

唐突に褒められ、思わず頷いてしまうチーノ。
Aは続ける。

「チーノさんのようになることができれば、私も少しは人の感情というものを理解できるのではないかと思いまして…」
「え？ちょお待って？それで何で兵士の指導をすることに繋がるんや？」
「…チーノさんは、立場上の都合もあるのかもしれませんが、それでも、とても多くの方と関わっているように見えました」

「幹部の方々はもちろん、ご自分の隊以外の隊員の方々や、この城で働いている方々。私が住んでいる山のふもとの村の方々とまで…。ですから、チーノさんのように、多くの方々と関われば、私も感情を理解できるのではないか…と」

Aの考察は、あながち間違いでもなかった。

商人の息子として育ったチーノは、幼少期から同年代よりも人との関わりが多かったし、家が功を奏して貴族になり上がった際も、伝手を作る為にと上級貴族と交流していたので、人の考えていることを読み取るのは人一倍得意だった。

「…はは、なんやねん、それ…。俺、俺みたいになろうと努力してるAに嫉妬してたん？アホみたいやん」

(ずっと…俺がAを追いかけるばっかりやと思っとったけど……なんや、ちゃんとAも俺のこと見ててくれたんやな…)

Aは嘘をつかない。

それをもう十分に知っているチーノは、嬉しくて嬉しくて、でもちょっぴり恥ずかしくて、緩む口元を手で隠したのだった。