The Bubble 1st (ページ28)

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星。ページ28

「おい！…A、待てよ！」

店の外まで出てきたのに、
リュウセイは私を追いかけて、腕を掴んだ。

「…離して。」

「逃げなくたっていいだろ。…泣くなよ。」

「うるさい！…追いかけてこないでよ！」

リュウセイの言葉に、私の腕を握る手を振り切った。

「結局、もう本、書いてないんだな。」

「…は？」

「書かないなら、俺と日本来れば良かっただろ？」

私が小説家としてデビューする前から
私とリュウセイは、付き合っていた。

リュウセイは私の小説の初めての読者で、
いつでも、私の1番のファンだった。

なのに小説家という夢を叶えた私に、
韓国企業だけでなく、日本の企業からも内定をもらった
リュウセイは、一緒に日本に行こうと私を誘った。

「勝手にいなくなっておいて、何言ってんの…？
イ・ソラの名前で、もう書きたくないの！」

韓国で小説を書くと譲らない私と日本での仕事を
天秤にかけたリュウセイは、私に黙って日本に帰った。

それが私たちの最後だった。

「なんだよ、それ…」

「リュウセイが付けた名前じゃ、書けないの…！」

イ・ソラの名前を付けたのは、リュウセイだった。

俺の名前には"星'があるから、お前は"空"にしろよ。
昼でも夜でも、空にはいつも星があるんだよ。

そう言って、リュウセイが付けた名前。

「Aっ…！」

私の名前を呼ぶリュウセイの声を無視して、ただ歩いた。
リュウセイは、もう私を追いかけてこなかった。

ソウルの夜空には、何処からか雲が溢れ、
星を見ることはできなかった。