逃げられない。 ページ18
ジヨンと約束した水曜はすぐに来た。
いつもより遅い時間にパブに行くと、
平日ということもあり、混んでいなかった。
「遅くに珍しいね。今夜は来ないと思ってたよ。」
ユウタはそう言って、コースターを私の前に置いた。
「今日は約束なの。」
「約束？誰と？」
「ジヨン。…モヒートちょうだい。」
「ふーん。こないだ、２人でいきなり出て行った時は、
どうしたのかと思ったけど、ジヨンくんも頑張ってるわけね。」
ユウタは私のドリンクを作りながら、会話を続ける。
「頑張ってる？？」
「Aのこと、相当気になるんだろうなって。」
「…さあ。」
「でもさ、初めてじゃない？」
「何が。」
「Aが、一度寝た人とその後も繋がり持つの。」
「…そうだね。」
「なんで、ジヨンくんとは会うの？」
グラスにライムを絞りながら、私を見るユウタ。
何人と知り合っても、何人と寝ても、
一晩だけだと割り切って、絶ってきたのに、
ジヨンという例外ができてしまった。
「ジヨンは、飽きるまで、
きっと逃してくれないだろうって思ったの。」
そう、ジヨンが私に飽きるまで。
「Aも相当頑固だけど、
ジヨンくんも折れなさそうだもんな。」
ユウタは完成したモヒートを私に出して、
ユウタを呼ぶ他の客のところに行ってしまった。
「お待たせ。」
ジヨンが現れた頃には、私以外の客はいなくなっていた。
残っているバーテンダーも、ユウタ１人だった。
「帰ろうかと思ってた。」
私のそんな言葉にも、
「あぶな(笑)
…思ってたより時間かかっちゃってさ。」
ジヨンは微笑んで、私の隣に座った。
前会った時よりも、少し疲れた顔をしてる。
「ジヨンくん、こんばんは。」
「ユウタさん、こんばんは。遅くにすみません。」
ジヨンは律儀にユウタにそう謝った。
「全然。
Aとジヨンくんなら俺もだいぶ気が楽だし。
さて、ジヨンくん、なに飲む？」
「…うーん、ジントニックで。」
「ユウタ、私もジントニック。」
「了解。」
ユウタはグラスを２つ並べて、氷を入れた。
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作者名：carly
| 作成日時：2020年5月20日 21時
