The Bubble 1st (ページ15)

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何も起こらなかった夜。ページ15

「それもオッパから聞いたんでしょ。」

呆れたようなAの質問に、軽く頷いた。

「オッパもお喋りだよね。」

「Teddyヒョンとは、どうやって知り合ったの？」

「パブで。ユウタの友達だったから。」

「ヒョンとは、寝なかったんだね。」

精一杯の意地悪な言葉。
Aには、痛くもないみたいで。

「うん。だってオッパのこと好きだもん。」

さらっとそんなこと言うから、少し妬ける。

「ヒョンも好きだと思うよ、Aのこと。」

ヒョンがあんな風に女の人のこと話すの聞いたことない。

絶対、Aのこと好きなくせに、
Aを抱くよりも、客同士の関係を選ぶなんて。

特別なんだろうなって俺でも分かる。

「うん、知ってる。」

余裕なAの言葉に、２人のこと知りたくなった。

「AとTeddyヒョンの話、聞かせてよ。」

「オッパは、私に変わらなくていいって言ってくれたの。
どれだけ無神経に男の人を傷付けても、私が傷付かないならそれでいいって。」

ヒョンの話をするAの表情は、幾分か柔らかい。

「ふーん。」

ヒョンはAのこの顔を守りたかったってわけね。

「ねえ、やっぱり泊まることする。」

「なんの心変わり？」

Aがいてくれるなら、
俺は、なんだってウェルカムだけど。

「なんとなく。
今夜は何も起こらないでしょう？」

「…起こらないよ、何も。」

そう、Aを振り向かせるようなこと、
今夜の俺には、何もできない。

それでも、ただ足掻きたくて、Aの手を握った。