俺が嫌だから。 ページ22
金曜の夜、混み合ったパブ。
私はいつものカウンター。
「A？」
名前を呼ばれて、振り返るとジヨンがいた。
変装のためなのか、今日はメガネをかけている。
「今日はオッパと？」
カウンターの椅子をくるっと回して、
ジヨンの方を向いて、そう尋ねた。
「そう。Aはひとり？」
「うん、そう。」
「ヒョンと奥のテーブルにいるけど、来る？」
そう言われて、ジヨンが指差す方を見るとTeddyオッパがいた。
「うーん、私はいいや。楽しんで。」
なんとなく気分じゃなかったから、そう断った。
私の言葉にジヨンは、テーブル席に戻って行った。
ジヨンとの関係は、よく分からなかった。
初めて会った日以降、
身体を重ねることはなかったし、
ガホがいなくなったとジヨンが嘘をついた日以来、
ジヨンの部屋にも行ってない。
ただ、一度だけ、キスをした夜があった。
優しいキスをしてくれた夜があった。
ジヨンとはそれからも何回か会って、一緒にお酒を飲んだ。
今日みたいに、パブで偶然会うこともあった。
カウンターで肩を並べてお酒を飲む、それだけ。
ジヨンに言われた通り、私たちは"仲良くして"いると思う。
ジヨンが求めていたのが、これなのかは分からないけど、
私はジヨンのことを少しずつ知るようになったし、
ジヨンにも、自分のことを話しているつもり。
１人でお酒飲んでいると、いろんな人と出会う。
ジヨンやオッパも、そうやって知り合った。
アルコールの力は、偉大なのか害悪なのか、
ひとりで飲んでいる女には、いろんな人が声をかけてくる。
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作者名：carly
| 作成日時：2020年5月20日 21時
