Must be Love 1st (ページ7)

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予想外。ページ7

振り向いたその顔に、
自分でも驚くほどに私は冷静だった。

「初めまして。」

G-DRAGONだった。

口角を上げてそう言うその顔は、
私が今まで見てきた姿と１ミリも違わなかった。

韓国でも有名なこのクラブに来ると、
遠目にでも芸能人を見ることは少なくなかった。

その人たちはイメージと違ったり、
テレビで見る方が何倍も素敵だなと思う人が多かった。

でもG-DRAGONは映像で見る姿と何ら変わりはなかった。

「…初めまして。」

そんなことを考えながら、彼に挨拶をした。

BIGBANGの中でも、
私って本当にヨンベしか見てこなかったんだと
G-DRAGON本人を目の前にして思った。

G-DRAGONの書く詞は大好きだったけど、
相変わらずヨンベばかり見ていたせいなのか、

ステージの上と変わらず、綺麗な人なんだな。

ただ、そう思ったくらいだった。

それにジヨンが普通に接してくれたから
あえて気にする必要はないのだと。

こんな奇跡は一晩限りのことだと充分に分かっていた。

それにジヨンとの出会いが
ヨンベを身近に感じさせることはなかったし、

ただ同い年の男の子と話してる。

そんな気持ちを許す雰囲気が
あの夜のジヨンにはあったように思う。

交わしたのは挨拶と他愛のない雑談だけだった。

だからあの雨の中で
ジヨンが私の名前を呼んだ時は驚いた。

広いソウルの街で
ジヨンと再会したことよりも、

一度会っただけの私のことを
ジヨンが覚えていたことの方が予想外だった。