境界線。 ページ38
わお、タプだ。
さすが、YG…
タプにもばったり会うなんて
全く予想してなかった。
「ジヨンの友達…かつ俺のファン！」
ヨンベさんはそう私を紹介した。
「こんにちは、タプさん。」
そう挨拶をすると
「ヨンベのファンかよ。反応薄いな(笑)」
そう言って少し呆れたように笑った彼。
「仕方ないじゃん(笑)」
俺のファンだもん！って
得意げなヨンベさんが何だか可愛い。
「へー…そんでジヨンの友達ね。
よろしく。名前は？」
タプの強い瞳は私を捉えたまま、そう尋ねる。
「…Aです。」
揺さぶられそうな強い目。
それらに怯むように名前を呟いた。
「Aね。またね。」
そう呟いて、ニコッとはにかんだ唇。
またね…？
言葉のチョイスまで独特なのか。
もう会うことはないだろうに。
私たちとは逆方向に
さっさと歩き出したタプさんの背中に
「さようなら…？」
呆気に取られながら、そう呟いた。
そんな私の様子に、
ヨンベさんはもう慣れたことのように
「タッピョン、不思議でしょ(笑)」
少し呆れたようにそう言って笑った。
「素もあんな感じなんですね…」
不思議な魅力の詰まったラップを書く人だもん。
そりゃあ、人並みのセンスじゃないか。
「うん、俺らはたぶん、
ステージの上と大して変わらないよ。」
ヨンベさんはそう言って、
立ち止まっていた足を進めた。
「…なんか本当にYGにいるんだって
実感が湧いてきました。」
そのペースに追いつくように、
私よりも高いヨンベさんに肩を並べた。
「あと、テソンとスンリでコンプリートだね(笑)」
面白がるようにヨンベさんがそう言う。
「…もう今日はヨンベさんだけで満腹ですよ、私。」
もういっぱい。
これ以上なんて望まない。
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作者名：carly
| 作成日時：2021年2月5日 20時
