スーパースター。 ページ32
「……じゃ、ごゆっくり。
ヨンベ、また連絡して。」
ジヨンはそう言うと
傘片手に身を翻して離れて行った。
ジヨン、行っちゃうんだ…
一緒にいてくれるものだと勝手に思ってた。
部屋を出ていくジヨンの背中を見送るように
「了解。」
ヨンベは、ジヨンにそう返事をした。
部屋にヨンベと二人きり。
「同い年…なんだよね？」
彼のその言葉に頷いた。
「じゃあ、気楽に話してね。
ジヨンの友達ってことは、俺の友達でもあるし。
ヨロシク…ね？」
「よろしくお願いします…
ごめんなさい、緊張しちゃって…」
「緊張するよね、そりゃあ。
まあ、立ち話もあれだから、座ってよ。」
そう促されて、ヨンベの隣に腰を下ろした。
「会いに来てくれて、ありがとう。」
「忙しいのに、こちらこそありがとうございます…」
こっちが無理矢理会ってもらってるのに、
律儀にそう言って微笑むヨンベ。
「ううん、俺も楽しみにしてたから。」
優しくそう言うヨンベに
彼のファンで本当に幸せだと改めて感じた。
真っ直ぐに見つめるその目に胸がいっぱいになる。
「ごめんなさい。
会えたら言いたいこと、沢山あったのに…
何から伝えたらいいか分かんなくて。」
昨日の夜、沢山考えたはずの言葉は
この人を目の前にすると何も出てこなかった。
「まあ、時間はあるから。」
それからヨンベはただ私の話を聞いてくれた。
緊張で支離滅裂だったはずなのに、
私の一方的な話を笑顔で、ただただ聞いてくれた。
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作者名：carly
| 作成日時：2021年2月5日 20時
