Good to You 2nd (ページ46)

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恋煩い。ページ46

「連絡したら？
来てくれると思うよ、Aなら。
もう直ぐ仕事終わる頃だと思うし。」

腕時計を眺めながら、ヨンベはそう言った。

「…いや、もう心配させたくないんだよ。」

Aに会いたいのに、連絡はできずにいた。

弱ったところをわざわざ見せて、
放っておけないAの優しさに付け込むのも、
なんだか嫌だった。

Aの優しさに、偽りや汚れがないように、
俺自身もそうでありたいと思ったし、
そうなれるように努力するべきだと感じた。

素直に、会いたいって言ったら、
Aはそばにいてくれるだろうか。

下手なこと言ったら、
Aを失うんじゃないかって不安もあって、
何も出来ずに、ただあの夜のことを思い返すだけ。

あの夜、抱き寄せてくれたAの温度と
握った手の感触に、想いを募らせるだけ。

「あ、お土産忘れてた。」

ヨンベがそう呟いて、ビニール袋を俺に差し出す。

それを受け取って、袋の中身を覗くと、
オレンジ色の球体が２つ並んでる。

「…みかん？」

「うん、夏みかんだって。」

「買ってきてくれたの？」

そうヨンベに尋ねると、

「んー、そう。」

携帯に目を伏せたヨンベがそう言った。

掌にやっと収まるくらいのそれを手にキッチンに向かった。

あまり使った記憶のない果物ナイフを取り出して、
その皮を丁寧に剥いた。

切り出した実を口に入れると、
程よい酸味と甘みが口に広がる。

「うま。ヨンベも食う？」

買ってきてくれたヨンベにも、と思い、
カウンターに座るヨンベにそう尋ねた。

「いや、俺も貰ったからいい。」

目を伏せたまま、何の気もなしにそう呟くヨンベ。

「………貰った？」

買ったんじゃなくて？

俺の質問に、ヨンベは気まずそうに顔を上げて、
少しの沈黙の後、口を開いた。