Good to You 2nd (ページ37)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:112,747 hit

言葉にする勇気のない気持ち。ページ37

「……何作ってるの？」

カウンター越しにいたジヨンさんは、
キッチンのほうに回り込み、私の隣に来た。

「えーっと、これは切り干し大根です。」

まな板の上のニンジンと油揚げと
水を含む前の切り干した大根。

栄養があるものを、と思って、
彩り豊かな野菜と新鮮なお肉と乳製品を買い揃えてきた。

「ありがとう。…楽しみだな、食べるの。」

「お口に合うといいんですけど…」

「大丈夫だよ、Aが作るのはどれも美味いから。」

サラッと言うこの一言が、
私にはどれほど嬉しい言葉なのか、
きっとジヨンさんは分かってない。

来て良かった。
心からそう思った。

「今は…お腹空いてます？」

緩んだ頬をごまかしたくて、ジヨンさんにそう尋ねる。

「…んー、茶碗蒸し食べたい。」

少し間を置いてそう答えたジヨンさん。

「分かりました。
温めるので少し待っててください。
…２つありますけど、両方食べますか？」

「Aは、お腹空いてる？」

ジヨンさんは私の質問には答えず、私にそう聞き返す。

「え？…あ、はい。」

「じゃあ、ひとつずつ食べよう。」

ジヨンさんは納得したようにそう言うと
私の背後に回り込んで、

「お湯沸かしたらいい？」

コンロの下の収納から、小さめのお鍋を取り出した。

「あ、私やりますよ？」

「ううん。Aは座って待ってて。」

手持ち無沙汰になった私は、言われるがまま、
カウンターの向こう側のリビングにあるソファに
腰を下ろした。

料理を作り終えたら、すぐに帰る。
その選択肢は、ジヨンさんによって消された。

帰ろうと思えば、断って帰れたのに
そうしなかったのは、少しの間でも、
ジヨンさんのそばに居たかったからだと思う。