暗闇の中。 ページ26
Aが帰った後も変わらずに
DJブースで、酒を飲んでた。
携帯の時計を確認すると、
パーティーも中盤を超えている。
…そういえば、ミンヒは？
友達を迎えに行くって言ってから、
相当な時間が経っていた。
そもそも、友達って誰だ？
友好関係が広いミンヒの友達を
俺は大して知らなかった。
いつも何人かの女の子たちを連れてくる。
それだけ。
ミンヒの連れに興味を持ったこともないし、
ミンヒも、わざわざ俺に紹介したりしなかった。
DJブースから離れて、ミンヒに電話をかけた。
コールだけが鳴って、ミンヒは一向に出ない。
電話を切り、人が多いフロアを出て、ホワイエに出ると
涼しい空気がアルコールのせいで熱くなった身体を冷ました。
人気がないホワイエの隅に人影を見つける。
ミンヒだった。
それと知らない男。
その男は、ドレスアップしたミンヒとこの場には、
不似合いなスポーティな格好をしている。
２人は俺に気付いてなくて、
至近距離で何かを話している。
俺はゆっくり２人の方に近づき、
二人に気づかれぬように柱の死角に隠れた。
隠れた理由は自分でもよく分からなかった。
柱の陰から２人の様子を見る。
その男にミンヒが金を渡して、
それと引き換えに何かを受け取ったのが見えた。
男は金を数え終えると、早足で会場を出ていった。
１人になったミンヒは
受け取ったものをバッグに素早くしまった。
マジかよ…
………最悪。
２人の間で手渡されたそれが何なのか、容易に想像がついた。
柱の陰から、ミンヒに近付く。
「なんで電話出ないの。」
そうミンヒに詰め寄った。
「ジヨン！ごめん…友達と話してて！」
ミンヒは突然現れた俺に、
あからさまに動揺して、目が泳いでる。
「さっき出ていった男が、ここ向かってた友達？」
「…う、ううん。別の人だよ！
中に戻って、飲み直す？？」
ミンヒの慌てた様子が、俺の予想を確信に変えていく。
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作者名：carly
| 作成日時：2020年7月19日 18時
