眩しい光。 ページ21
ヨンベに導かれるままに、
音楽が響くDJブースを抜け出して、
人混みから逃げるようにフロアの隅に来た。
俺と、ヨンベとA。
Aはすごく綺麗だった。
ものすごく。
こんな飲まなきゃよかった。
そう後悔した。
って、それも後の祭り。
今夜、Aには会いたくなかった。
ここにAがいることが、
想定外で、不都合で、不満だった。
「今日は来ないんじゃなかった？」
そう呟いた俺の声は、自分でも分かるくらい、
感じの悪い、嫌なものだった。
そんな風に尋ねたものの、Aを見ることはできなくて、
クラッチを持つ綺麗に重ねられた手を見つめてた。
「俺が呼んだ。」
Aの代わりにヨンベがそう答える。
ああ、そう…
視線を上げて、ヨンベを見つめる。
全然酔ってない、いつもと同じヨンベの表情。
俺に呆れている目。
じっと、ヨンベのその目を見つめると、
「なんだよ。」
ヨンベは、挑発するような冷たい視線を俺に送り、
そう強く言い放った。
「別に。」
そう言って、髪をかき上げて、首を捻った。
「お前、飲みすぎだよ。」
「別にいいだろ？」
「良くねえだろ。」
俺が間違ってるんだ、と、
俺が悪いんだ、と言いたそうなヨンベの目。
はぁー…
ヨンベの説教は、酔った頭に
すごく鬱陶しく響いて、深くため息をついた。
「Aがせっかく来てくれたのに、なんで不機嫌なわけ？」
「ヨンベが勝手にAを呼んだくせに
なんで俺が怒られなきゃなんないの？」
「やめてください。
ヨンベさんは悪くないです。」
黙っていたAはヨンベを庇うようにそう言って、
大きく無垢な瞳で俺を真っ直ぐに見つめた。
居心地が悪そうな、不安そうな表情で。
慣れないものを見るような戸惑った瞳で俺を見る。
…見んなよ。
こんな俺、Aは知らなくていいんだよ。
そんな目で見ないで。
Aに嘘ついてた訳じゃないし、
自分を偽っていた訳じゃない。
Aに見せてきた俺に偽りはなかったし、
言葉も態度も本心からのものだったけど、
こんな情けない俺も、俺なんだ。
そんな目で見られても仕方ないって本当はよく分かってる。
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作者名：carly
| 作成日時：2020年7月19日 18時
