Good to You 2nd (ページ11)

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ステージの裏。ページ11

黄色く輝くペンライトの下
何処かにAがいると思えれば、
俺からは見えなくても、十分だ。

定刻で公演は始まった。

不思議なもので、ステージに立てば
平気な顔して、パフォーマンスをすることができる。

舞台袖にはけたときの疲労感は、相当なものだけど。

客席からはもちろん見えない舞台袖。

観客には、輝くG-DRAGONだけを見て欲しい。

自分の出番でない時は、
ステージの裏でじっとエネルギーを貯めて、
それをステージの上で全て発散しきる。

その繰り返しの２時間半。

アンコールまでやり終えて、
退場のアナウンスに、心を撫で下ろす。

はけたステージの裏で、そのまま倒れ込んだ。

慌てたスタッフが駆け寄ってくるのが分かる。

大丈夫！？

俺にかけられる慌てたその無数の声が、俺を不安にさせる。

大丈夫か、なんて分かんない。

息を吸って、吐く。

そんな単純なことすら、今はままならない。

笑顔を作ったり、平気なフリして立ち上がったり、
そんなことができる余裕はもう少しも残ってない。

「ジヨン、乗れ。」

マネヒョンが、俺を背負おうと
俺のすぐ近くで、背を向けてしゃがみ込む。

「……あと５分待って。」

起き上がれる状態じゃあない。
鉛みたいに重くて、いうことを聞きそうにない身体。

「何が欲しい？水？」

騒がしいスタッフたちとは違って
落ち着いて冷静なマネヒョンの言葉が、俺を少し安心させる。

「ん。…あと携帯も。」

「ほら、飲め。」

すぐに、ストローが刺さったペットボトルと
俺の携帯を差し出すヒョン。

水を一口飲んで、寝そべったまま、
公演中に確認できなかった携帯を開くと
１分前にAからのメッセージ。

『公演お疲れさま。すごく楽しかったです。
ジヨンさん、とても格好良かったです。
ゆっくり休んでくださいね。ありがとうございました。』

Aが、楽しめたなら良かった。
ステージの上で倒れなくってよかった。

Aからのメッセージに、ひどく安心して、
返信もせず、持っていた携帯を胸に落とした。

その安心感と共に、冷や汗がどっと出て
身体の中心から指先に熱が逃げていくのが分かる。

あ…やばい。

まぶたが重くなって、身体に力が入らない。
瞳を閉じて、そのまま意識を手放した。