甘い誘惑。 ページ29
「ハイ、少しは休めば？」
その言葉に、PCから目を離して顔を上げた。
「コーヒーでよかった？」
ジヨンがマグカップを２つ持って、そう尋ねる。
「うん、ありがと。」
ジヨンからコーヒーを受け取って、
そのカップの縁に口をつける。
「ケーキ買って来たけど、食べる？」
私の鼻に乗るブルーライトカットのメガネを外すジヨン。
仕事終わりのジヨンがケーキを持って、
私の部屋までやって来てくれた。
私は４作目の最終章に取り掛かってる。
〆切にはまだ余裕があるけど、
一度書き出すとなかなか止まらなくて。
折角来てくれたジヨンの相手もせずに
寝室で小説を書き進めていた。
「ケーキは後で食べる。メガネ返して。」
仕事に戻ろうとする私に、
「もう？」
ジヨンがそう尋ねる。
「もう少しで終わるから。」
ジヨンの手から眼鏡を取り返そうとすると、
「はいはい。
ねえ、本読んでいい？」
メガネを私にかけ直したジヨンがそう尋ねる。
「いいよ。
気に入ったのがあれば、持って帰ってもいいよ。」
ううん、Aんちで読むからいい。
そう言うジヨンは本を一冊手に取り、
本棚の横に腰を下ろした。
「リビングで読んだら？
お尻痛くなるよ、そんなところで読んだら。」
床に座って読むなんて。
リビングにソファだってあるし。
ゆっくりくつろげばいいのに。
「Aがここにいるなら、俺もここにいる。」
なんの意地なの？
部屋の片隅で小さくなるジヨンを
母親のような気持ちで見つめた。
それから、どのくらい時間が経ったっけ？
大人しく本を読んでいたジヨンが、
デスクに向かう私の背中に後ろから腕を絡ませ始めた。
「A〜」
「んー？」
「構って。」
「はいはい。」
私の肩に乗ったジヨンの頭をぽんぽんって撫でた。
「……それだけ？」
なんて催促するジヨン。
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carly(プロフ) - さあとさん» 最後までお読みいただき、ありがとうございます！楽しんでいただけて、嬉しいです。新作の方も温かい目で読んでいただけると有り難いです(笑) (2020年6月27日 22時) (
レス) id: 7bb2fdde44 (このIDを非表示/違反報告)
さあと(プロフ) - 楽しかった〜(^^)私はキャリーさんが書きたい小説を書いていいと思います。また、楽しいお話待ってます。新作早速覗きに行ってきます (2020年6月26日 20時) (レス) id: ec1f7b1c32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：carly
| 作成日時：2020年6月7日 14時
