好きなところ。 ページ15
「私、好きな曲あるんだ。」
助手席のAがそう呟いた。
「BIGBANGの曲、聴くの？」
「当たり前でしょ？
私だって韓国に住む25歳だよ？
大人気グループの曲くらい聴くよ。」
「なんか意外。」
ベストセラー作家ってなんか世俗から離れてるイメージ。
Aの部屋のあんな沢山の本を見た後だから、尚更。
それに俺が知るAは、
パブでカクテルを飲む横顔ばかりだったから。
「…実はジヨンと知り合ってから、よく聴くようになったの。
ジヨンが作詞作曲してるんだって思って聴くと、
なんかまた新鮮で、好きなの。」
そう言うAの横顔が、堪らなかった。
俺のいないところで、Aが俺のことを考えてるなんて、
正直、今まで考えもしたことなかった。
「好きなの、どの曲？」
「Love Dustが好き。」
「またコアなところいくね。」
大ヒットしたような曲じゃなくて、
アルバム曲を選ぶところが、なんだかAらしい。
ステージで披露したのも一度や二度。
音楽番組しか俺らの曲を聞かない人は知らない曲。
アルバムしっかり聞いてくれてるんだ。
嬉しくて、自然と口角が上がる。
「当たり前のことだけど、
みんな本当に歌がうまいよね。」
鼻歌を歌いながらそう言うA。
「今度みんなに紹介させてよ。俺の彼女だって。」
「みんなも嫌でしょ。
こんな冴えない一般人の彼女紹介されても」
本気で言ってる？
そもそも、俺が一目惚れしてんだよ？
イ・ソラであることを除いても、
こんなに綺麗で魅力的なAが冴えない一般人だなんて。
なんて、思うのは俺の贔屓目だけじゃないはず。
「んなわけないじゃん。
俺が最近ずっとAの小説ばっかり読むから、
ヨンベに言われるんだ、本好きな子でも好きになったのかって。」
「ハハハ！
やっぱり仲良いんだね、BIGBANGは。」
「まあな。四六時中一緒だからさ。
みんな、Aのこと気に入ると思う。」
「…じゃあ、また機会があれば。」
「Aが望むなら５人で歌うよ？Love Dust」
勿体無いからいい、
そう言って笑うAの横顔に、
とりあえず、デートは大成功だったと思った。
Aが楽しそうなのはもちろん、
Aの好きなところが数え切れないほど増えたから。
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carly(プロフ) - さあとさん» 最後までお読みいただき、ありがとうございます！楽しんでいただけて、嬉しいです。新作の方も温かい目で読んでいただけると有り難いです(笑) (2020年6月27日 22時) (
レス) id: 7bb2fdde44 (このIDを非表示/違反報告)
さあと(プロフ) - 楽しかった〜(^^)私はキャリーさんが書きたい小説を書いていいと思います。また、楽しいお話待ってます。新作早速覗きに行ってきます (2020年6月26日 20時) (レス) id: ec1f7b1c32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：carly
| 作成日時：2020年6月7日 14時
