【ワールドトリガー】消えそうな君の、その感情を【影浦雅人】 (ページ9)

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8☆毛布ページ9

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「東さーん！ベイルアウトマット一つ貸してくださーい」

「……煩い」

「ちょっ……三輪君酷い！私一応先輩！」

「一つしか変わらないじゃないですか」

「一つでも変わるの！」

勢いよく開かれた東隊隊室の扉。そこに現れたのは図々しくも寝床を借りに来た月読だった。

「お、どうした。わざわざ借りに来るってことは……」

「はい。明日からちょっと」

「そうか。ゆっくり休めよ」

「ありがとうございます」

ベイルアウト部屋に近づきつつ、東に理由を話す月読。唐突の訪問で、利害の一致しない図々しい頼みであるにも関わらず、東はあっさり承諾する。

「んー、あ、三輪君、そこにある毛布取って」

「嫌です。自分で取って下さい」

「即答!?」

隊室を見回した月読は三輪の近くにあった毛布を見つける。だが三輪が快く取ってくれる訳もなく、他の隊員も動く気配がない。

このままだと存分に睡眠を取れない月読は、三輪に交渉を続ける。自分で取ると言う選択肢は無いのだろうか。

「じゃあ投げて良いからさ」

「だから自分で取って下さい」

「日頃の恨みを込めておもいっきり顔面に投げつけて良いから！」

「……言いましたね？」

「あっ、まさかやる気満々？」

言いながら、毛布を手に取り硬く丸めていく三輪。冗談半分で言った月読はその本気度に後ずさっていく。

「でもそれ、軌道反れたら二宮さんにあた…」

「安心しろ。お前に当たるよう軌道修正する」

「ええ!?あ、それはそれで東さんに…」

「大丈夫だ。月読に返すぞ」

「なっ……でもそれも加古さんにあたりかね…」

「そしたらAちゃんに当てるわね」

「もー、皆さんひどぅわあ!?」

酷い、と言いかけた月読の顔面に、三輪の投げた毛布がクリーンヒット。隊最年少で唯一接近戦をこなす程の実力者である三輪に、はずすと言う結果は無かった。

無論、こんなことに戦闘の実力は関係無いのだが。

「……取ってくれてありがとうね三輪君」

「その変な間はなんだ」

「月読らしいな」

月読の微妙な返答に呆れる二宮。楽しそうに微笑む東と加古。どこか不機嫌な三輪。三人の視線を受けつつ、月読は奥の部屋へと消える。

「おやすみなさーい……」