【ワールドトリガー】消えそうな君の、その感情を【影浦雅人】 (ページ31)

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「サイコメトリーって、聞いたことはあるけど……何？」

「なんか、超能力みたいな？」

「まあ、簡単に言うなら、だから勿論違う部分もあると思うんだけどね」

あまり聞き慣れない言葉に質問が飛ぶが、月読はその質問に答えるでもなく話を進める。恐らく月読もよくわかっていないのだろう。

「要は、『手で直に触れた物の記憶や性質を読み取る』ってことかな」

「手で直に触れる……」

「うん。人なら生まれてからの記憶、物なら性質だったりね。加減すればその時だけってのもできるけど、制御が難しいんだよね」

「……待て。手で直に触れるってことは、昨日俺らと握手した時って……」

「流石荒船君。勘がいいね」

荒船が恐る恐る疑問を口にする。昨日初めて会った時、握手を求められた際に月読は手袋を外していた。

「サイドエフェクト使ってたんだ。ごめんね。自分の記憶見られるとか、気持ち悪いでしょ」

「というか……本当に見れるものなのか？生まれてからの記憶なんて相当長いだろ。あの一瞬で……」

「それを見て理解するまでがサイドエフェクトだからね。でも、確かにいきなり言われても信じられないか」

月読は少し考える素振りを見せた後、おもむろに口を開いた。

「簡単なプロフィールじゃ信憑性薄いか……

じゃゾエさんに弟がいてボーダー入りたいって言ってることとか荒船君が水面に顔つけることすら無理だとか仁礼ちゃんも弟いてめっちゃ優秀とか……」

「なんで知ってるの！？」

「あ、あと荒船君が犬嫌いな理由は……」

「それは言わなくていい！」

だんだんと荒船の顔色が悪くなっていった。同年とはいえこれだけ大勢の前で無様な話はさらしたく無かったのだろう。

「……わかった。お前が本当に記憶見れてるのはわかった」

「良かった信じてもらえて。で、まあこれが私のサイドエフェクトだよ」

説明も終え、証明も納得させ、月読自身話は終わりかけていると思っていた。しかし、影浦にとってはここからが本題だ。

「けどこいつのサイドエフェクトはこっからが問題なんだよ」

「え、ちょっと……んぐっ」

反論しようとした月読を菓子で黙らせる影浦。勢いよくポッキーを突っ込まれた月読は咳き込むが、落ち着くと無心で頬張り始めた。

「よし黙った」

「わー、流石幼馴染。扱い方わかってるね」

犬飼と鳩原は隊室にポッキーを常備させようと誓った。