【ワールドトリガー】消えそうな君の、その感情を【影浦雅人】 (ページ26)

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24☆朝食ページ26

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影浦が目を覚ましたのは、朝の9時頃だった。平日にしては遅いし休日としては早い。今日は学校は無いためもう少し寝ていようかと寝返りをうった。

ソファに月読の姿がない。

一瞬事態が飲み込めず飛び起きるが、その人物はすぐ近くにいた。

「あ、雅人起きたー？」

「……おう」

……呑気に冷蔵庫を物色していた。

「早いんだな」

「んー。任務とかで早起きに慣れちゃってね。
ねえ、何か飲み物ないの？」

「この隊室に給湯室ないぞ。飲み物なら自販機行ってこい」

「え、面倒くさ」

振り向きもせずに文句を言ったかと思えば、冷蔵庫にあったのであろう板チョコを取りだして割りつつ食べ始めた。

「……」

「美味しい～」

「……いやいや、朝からチョコかよ！？」

「え、うん」

「当然のように言うな！」

何故か月読に対してだけ過保護な影浦はさも親かのように叱るが、月読には通用しない。のんびりチョコを食べ続けている。

「食堂行くぞ食堂！！」

「え、なんで」

「朝飯食いにに決まってんだろ」

「この時間に？雅人が？」

「あー……」

もう一度言うが現在朝の9時。朝食には遅ければ昼食には早い。おまけに影浦はそのサイドエフェクトで人混みを嫌っているため、自ら人の多い、それもある程度の時間滞在しなければならない食堂に行くなど考えにくい。

どうしたものかと頭をかく影浦を、月読が笑う。

「もー、そんなに頭かいちゃダメだよ」

「とはいってもお前朝飯食わない訳にも……」

「それは雅人もでしょー」

「じゃあどうすんだよ」

「私が買ってくるよ。何が良い？」

当然のように言い放つ月読。その笑顔に戸惑いながらも、なんでもいいと答えを述べる。

「わかった。行ってくるねー」

「あ、金は……」

「いいよいいよ。奢ったげる」

柔らかな笑みを残したまま、月読は隊室を出ていった。
二年の空白を感じさせない、いつも通りのやり取り。まるで二年間一緒に過ごしてきたかのように自然だった。

やり取りに関して言えば。

昨日月読を見つけてから、とある違和感がずっと残っている。しかし恐らく、互いにそれを分かっていながら話題にしていない。影浦はそれが気にかかっていた。月読は、何故話さない。その理由はなんとなく察しがついたが、信じたくはない。

隠し事があるのに、感情に変化がないのも気にかかる。

「……何でだよ」