【ワールドトリガー】消えそうな君の、その感情を【影浦雅人】 (ページ17)

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16☆道ページ17

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それから一年。

この一年で、ボーダーの状況は大きく変わった。

迅がエンジニアと協力して軽量型攻撃特化ブレード、スコーピオンを開発。

黒トリガー、風刃争奪戦。これには三輪や加古も参加したが、息つく間もなく迅が全員を圧倒し、結果S級となった。

A級一位、東隊の解散。隊長の東はフリーの戦闘員として残り、各隊員は各々で隊を結成。その中の二宮隊には鳩原が所属。

また、空いたA級一位の座には、出水と隊を結成した太刀川の隊がついた。C級に有望な人員を見つけたようで、近々風間隊も結成される。

月読はというと、東隊という寝床を失い、主に三輪隊と二宮隊を寝床にしている。
なお、加古隊でない理由は、「加古隊の隊室には近付くなというか加古隊の台所には近付くな」といったことを珍しく血相を変えた三輪と二宮から言われた為らしい。

「なー月読ー、模擬戦しよーぜー」

「いやですー風間さんとして下さいー」

「風間さん忙しいって聞いてくんねーのー」

「お前が報告書やらないからだろうが」

「太刀川さん顎乗っけないで重い」

「いいじゃんかよー」

「良くないです近寄らないで」

「酷っ！？」

「聞け」

そんな月読は只今、報告書未提出が続いた太刀川を忍田本部長からの命で連行中だった。

「隊長の仕事こんなに多いと思わなかったー」

「月読、こんな人間にはなるなよ」

「了解しました風間さん！」

ランク戦ブース移動中。一年経ち隊員も増え、かなり賑わう所となった。しかしそんな中上位攻撃手二名とS級は一際目を引き、自ずと道が開いていく。

平坦な道を、決められた道を歩いていく。
それは今まで当然で、これからも同じこと。

だと、思っていた。

「…………A？」

それは本当に偶然で奇跡で運命で。

後方から投げ掛けられたその言葉は、月読を大きく揺らがし、振り向かせる。

「……雅人！！！」

勢いのままに、青年へと飛び付いた。

いや、むしろ抱きついた、という表現か。

「「……はああああ！！！？？？」」