【ワールドトリガー】消えそうな君の、その感情を【影浦雅人】 (ページ2)

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1☆昼寝魔ページ2

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規則正しい寝息。

会議室の一角で、狭いソファにも関わらず、器用に昼寝している少女が一人。それも、かなり幸せそうだ。

特別綺麗とまでいかないが、一般的に見れば確実に美人の部類に入るであろう顔立ち。

その顔は、長く伸ばされた前髪によって片目が隠れていることもあり、どことなく不思議な雰囲気を感じさせる。

邪魔ではないかというのは禁句だ。

「んー……もっと食べる……」

さらに言えば、少女は菓子が好きである。
ソファの横に置かれた小さな机には、少女が食べたであろう菓子の空き袋が散乱していた。

チョコ菓子を中心とした、甘いものばかり。

「お前、こんだけ食って夢でも食ってんのかよ……」

その空き袋を視界に入れていた青年が、少女の寝言を聞いて呆れる。確かに、空き袋は山積みになっていた。

「こーの昼寝魔が……そろそろ起こすか」

『昼寝魔』と称されるあたり、少女のこれは日常茶飯事なのだろう。

青年は椅子から立ち上がるとソファに寄って行き、少女の肩を揺さぶる。

「おーい月読ー、起きろー」

「んー……」

ところが、少女は少し顔をしかめるだけで全く起きる気配がない。それどころか、体を丸めて、起こそうとする青年を拒絶する。

「うわ、でたよ防御体制……観念して起きろ月読ー、つーくーよーみー」

「おい、騒がしいぞ太刀川」

揺さぶりが効かないと見るや、声で起こそうと作戦を変更した、太刀川と呼ばれた青年。

しかしその声は会議室の外まで漏れていたらしく、廊下から入ってきた小柄な青年に咎められる。

「あ、風間さん良いところに。いやー、月読が起きなくて」

「……相変わらずだな」

防御体制に入っている少女、月読を見て、太刀川と同じように呆れる小柄な青年、風間。

自分がやると言わんばかりに、手で太刀川を退け、ソファに近づく。

「こいつなら、多少手荒でも構わないだろ」