彼の修理屋さん (ページ11)

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複雑ページ11

バッキーから、仕事が終わったら話そうと言ってくれたことが嬉しくてバッキーと別れた後、 Aはスキップでラボまでたどり着いた。

A「よ～し！お仕事頑張るぞ！」

腕まくりをして気合いを入れると仕事に取り組んだ。

バッキーの何気無い一言で嬉しくなって、こんなにも力になるなんて恋愛の力は凄いんだと改めてAは思ったのだった。

＊ . ○ * . ＊。○ * . ＊・○ * 。

バッキー「終わったか？」

ラボの扉から顔だけ覗かせるバッキー。
丁度良く仕事にキリをつけたAは立ち上がってバッキーに駆け寄ると抱きついた。

A「終わったよ～！バッキーだいすき！！」

Aはバッキーに抱き付くことを日課にするようになってから、度々 " すき " と口に出すようになっていた。その真意が伝わってほしいような恥ずかしさから知らないふりをしていてほしいような複雑な気持ちだった。

そんなAを見てバッキーは、尻尾を振った犬みたいだと口から言葉が出そうになったのを飲み込んで微笑んだ。

ぎゅう、と抱き付く力を強めるとバッキーが優しく背中を撫でた。

バッキー「はいはい、じゃあ飯行くか」

Aは、分かっていた。
自分の好意はバッキーに伝わっていない。仮に伝わったとしてもそれはきっと彼を困らせてしまうものだということを。

どんなに思ったことを口に出しても、あしらわれてしまう。そんな事がある度にAは密かに傷付いていた。

A「何食べる～？」

タワーを出て２人で並んで歩く。
歩幅を合わせて歩いてくれるバッキーに、心が温かくなった。

バッキー「チーズバーガー」

A「トニーに影響されたの？笑」

バッキー「１時間チーズバーガーの話を聞かされたんだ」

呆れたように笑うバッキーが格好良くて直視出来ないのを誤魔化すためにAは彼の手をとり、引っ張るように前を歩いた。

空を見上げると建物の間から夜空が覗いている。

この想いが伝わらなくても、このままこれからも一緒に居られればいいときらきら輝く星に願った。