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ビデオ録画開始の挨拶が響いて全員の顔が蘭の方に向いた刹那、蘭は一瞬固まり、言葉を探しているようだった。まぁ、変なところで無鉄砲だったりする蘭のことだ。何も考えずに始めたんだろう。

……まぁ、嫌いじゃなかったぜ。

「えーっと……。」

「兄貴、照れてんなよー!」

竜胆から野次が飛び、小さな部屋に充満する。
そして、その何気ない会話を支えながらも彩るように苦笑する九井や鶴蝶。……ほんと、お前ららしい。

「うっせぇ竜胆!! 大体、何で俺が最初なんだよ!」

自分が最初であることに不満を漏らすけど、息を吐き、気を取り直したように前を向き直す蘭。真剣に向き合い、何もないはずの宙に何かを見い出したかのような目をしていた。

「あーー、今までありがとう。大将。」

短かったけれど俺たちの関係にはその言葉だけで十分だった。
世間的にも、俺たちにとっても、お世辞にだって綺麗とは言えないような関係。……でも、まぁ、嫌いじゃなかった。

「さようなら。また、いつか。」

最後まで言い終えた後、蘭は切なげに笑った。
無理に笑わなくて良いのにな。

……でも、きっと、これが蘭なりの俺たちの間でのけじめ。
永遠の恐怖の呪縛なんてかき消すような力強いものだった。



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、→←拝



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作者名:羽瑠 | 作成日時:2022年2月15日 17時

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