izw×ymmt ページ47
side なし
「あー、あ、あ…」
山本は喉に手を当てて声を出している。
いつもよりも幾らか枯れていた。
「水飲む?」
「…もらう」
伊沢はサイドテーブルに置いてある飲みかけのミネラルウォーターを差し出した。
山本はどこか納得がいかない様子で水を受け取り、こくりと喉に流し込む。
「声枯れちゃったの?」
「…誰のせいでしょうかね」
「…んー、俺だねぇ」
お互い上半身は何も纏わずダブルベッドで横になっている。
伊沢は翌朝のアラームを設定し、携帯を枕元に置いた。
数週間ぶりの行為を終え、汚れたシーツを変えた2人がシャワーを浴び終えた頃には、もう時間は深夜3時を回っていた。
「何時起きですか?」
布団にもぐりこんだ伊沢に山本が話しかけた。
「ん、6時かな」
「早いなぁ…」
「はは、社会人としては珍しい時間じゃないだろ」
「そうだけど」
伊沢はふあぁ、とあくびをした。
「てか明日山本も撮影日だろ?」
「うん、MC3本もあるんだよねぇ」
「あれま」
山本は乾いた声で返す。
「『あれま』じゃないよ誰のせいだよ」
「だから俺だって」
「開き直らないでくださーい。僕ははじめずっと声抑えてたのに伊沢さんがベッドに両手押さえつけたからで−す」
「はっはっは、悪い悪い」
山本は乾いた笑い声をあげる伊沢に軽く肩パンをお見舞いしてやった。
…が、効き目は薄そうだ。
ちゃり、とチェーンがこすれる音がする。
山本は伊沢の首にかかったネックレスを指先で軽く弄った。
シャープなデザインが程よく引き締まった白い肌によく映えている。
去年の伊沢の誕生日に山本がプレゼントしたものだ。
「なんだよ」
「これ、取らないのかなって。寝るときも」
「ん、風呂入るとき以外はずっとしてるよ」
「ふーん…」
山本は自分で聞いておいて少し顔を赤らめた。
ネックレスから指を離し、代わりに自身の前髪に持っていった。
山本が照れたときの癖である。
それを知っている伊沢は愛おしそうに笑って、山本の頭を撫でた。
「山本の誕生日、もうすぐだよね。どうしよっかな」
山本の誕生日が近いということは伊沢の誕生日はそれよりも近いのだが、伊沢は山本のことしか頭にないようだ。
「…僕も、ずっと持ってられるもの欲しいかな…」
部屋の奥の方を見つめながら山本は呟いた。
手元は相変わらず前髪をくるくるといじっている。
数秒の沈黙ののち、伊沢は不意に布団の中にある山本の左手を探り当てて優しく握った。
驚いた山本はぴく、と体を強張らせる。
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Azusa(プロフ) - morさん» そうですね!私も創作意欲を失った訳では全く無いので少し落ち着いたら長編とかも書いてみようと思ってます(^-^)最後まで読んでくださりありがとうございました! (2021年1月13日 2時) (レス) id: 1e11c41067 (このIDを非表示/違反報告)
mor - 更新お疲れ様でした!再開される時まで待ってます!その時はizym長編とか最後のizymの続きとか読みたいです! (2021年1月1日 20時) (レス) id: 06bc4acfa5 (このIDを非表示/違反報告)
Azusa(プロフ) - 緋歌梨さん» 本当ですね…治しておきました。わざわざ教えていただいてありがとうございます…!! (2020年11月29日 21時) (レス) id: 1e11c41067 (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - 19ページの9行目みんなには言ったのかじゃないですか? (2020年11月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
Azusa(プロフ) - ゆゆーさん» 可愛いシチュのお陰です笑 リクエストありがとうございました! (2020年11月14日 17時) (レス) id: 1e11c41067 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Azusa | 作成日時:2020年9月13日 21時