izw×ymmt ページ38
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「…どうしたの?」
完全にオフモードでぺらぺらと参考書をめくっていた休日の夜。
呼び鈴を鳴らす音がして、玄関先に出てみれば疲れのにじみ出た笑顔を浮かべる訪問者。
「急にごめん」
「…全然いいけど…」
そう言うと伊沢さんは扉を支える僕の右腕をくぐって中に入ってきた。
「っ…?」
そのまま僕の腹に腕を回してぎゅう、と抱きついてきた。
小刻みに震える肩が目に付く。
扉を閉め、まだ靴も脱いでいない伊沢さんを抱きしめて後頭部を撫でた。
伊沢さんは泣いているようだった。
普段からしっかりしてる伊沢さんだから、こういう姿はあまり見ることがない。
「なにかあった?」
できるだけ優しく聞いてみる。
何も聞かない方がいいかなとか思ったけど、こうしてうちに来てるということは僕に助けを求めてくれてるということだから。
伊沢さんは僕の肩に顔を乗せて小さく首を縦に振った。
伊沢さんが落ち着くのを待ってからリビングに招き入れた。
インスタントのコーヒーを淹れて伊沢さんの前に置くと、両手でマグカップを持って一口だけ啜り、ため息をつく。
「…なんかさ、疲れちゃった。忙しすぎて」
伊沢さんが隣でぽつりとつぶやく。
また泣きそうな顔をしていた。
「っ…ごめん、なんていうんだろ、病み期みたいなもんなんだけど」
涙が一滴、伊沢さんの頬を伝って顎からテーブルに落ちた。
「会社が大きくなった分、周りの人のリアルな反応を見る機会が減って」
「ずっと掲げてきた理念が疎かになってないかな、とか。YouTubeにも中々出れないし」
「実は本当に俺を必要としてる人なんていないんじゃないかなって思う」
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Azusa(プロフ) - morさん» そうですね!私も創作意欲を失った訳では全く無いので少し落ち着いたら長編とかも書いてみようと思ってます(^-^)最後まで読んでくださりありがとうございました! (2021年1月13日 2時) (レス) id: 1e11c41067 (このIDを非表示/違反報告)
mor - 更新お疲れ様でした!再開される時まで待ってます!その時はizym長編とか最後のizymの続きとか読みたいです! (2021年1月1日 20時) (レス) id: 06bc4acfa5 (このIDを非表示/違反報告)
Azusa(プロフ) - 緋歌梨さん» 本当ですね…治しておきました。わざわざ教えていただいてありがとうございます…!! (2020年11月29日 21時) (レス) id: 1e11c41067 (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - 19ページの9行目みんなには言ったのかじゃないですか? (2020年11月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
Azusa(プロフ) - ゆゆーさん» 可愛いシチュのお陰です笑 リクエストありがとうございました! (2020年11月14日 17時) (レス) id: 1e11c41067 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Azusa | 作成日時:2020年9月13日 21時