もっと素直に〈Part4〉

fkr×izw ページ22

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ピーンポーン。

間の抜けたチャイムが鳴り、インターフォンの通話ボタンを押す。

「はい？」
「あ、ふくらさん？俺〜」
「え？あ、うん待って、鍵開けるから」
「さんきゅー」


今日くる予定あったっけ、なんてぼんやり考えながらエントランスの解錠ボタンを押した。
程なくして自室のドアがノックされる。


「はいはーい、いらっしゃ…って、伊沢！？」

ドアの前でいたずらがバレた子供のような顔で立つていたのは、雨で全身濡れ鼠になった伊沢。

「傘、持ってきてたじゃん」
「ちょっと、忘れてオフィス出ちゃって。行けるやろと思ってたら降られちゃった」

…で、伊沢の家よりもオフィスに近い俺の家に転がり込んできた、と。

「もう…とりあえず玄関入って。で、ドア閉めて。バスタオル持ってくるから」
「ん、ありがと」

慌ててバスタオルを取りに洗面所に向かう。
全く、忘れたら取りに戻るということをどうしてしないのか。

…まぁ、ずぶ濡れのあの姿を他人に晒さずにうちに来たことだけは褒めてやろう。

「はい、これ」

洗ったばかりのバスタオルを伊沢の頭にかける。

「んー…」

口をきゅっと結んで自分で頭を拭こうとしない。

「なに？」
「……」
「いざわ？」

「……ん」

…無言でこちらに頭をずい、とよせてくる伊沢。

「へ？」
「拭いて…」
「はぁ…？」

なんだか妙に甘えてくる。
いや、まぁ可愛いからいいんだけど…

「終わったらお風呂入ってよ？」

わしわしと頭を拭いてやりながら聞く。

「はっ笑 じゃあ今頭拭いてる意味ねぇじゃん」
「あ、そうじゃん」

我ながらアホらしくて手を離そうとすると、腕をぱっと掴まれた。

「良いから。そのまま、拭いてて」
「でも…」
「いいの」
「…はいはい」

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