. ページ32
.
「はい、どうぞ」
「ありがと」
こと、と机に2人分のコーヒーを置き、俺も山本さんの隣に座る。
「…最近、どう？」
「どう…って、言われても」
「んー、大丈夫…じゃ、ないのは分かってるけど。つらいなら、話くらい聞きたいなって」
山本さんは寂しそうに目を伏せて笑う。
「ありがとね、気使ってくれて」
「いえいえ、そんな」
やっぱり話してくれないかな…そう思った矢先。
山本さんは熱いコーヒーの入ったマグカップを両手で持ち、ぽつりとつぶやいた。
「ホントに話、聞いてくれる？すっごい湿っぽい話になるけど」
「…はい、もちろん」
山本さんはぽつぽつと絞り出すように話しだした。
「僕さ、伊沢さんがいなくなって…なんだろ、ほら1週間ずっと伊沢さん家に泊ってたからさ、こう…なんかびっくりするくらい寂しくてさ。好きだ、って自覚するだけでこんなに変わるんだなぁ…って、思って」
山本さんは、ごめん、あんまりうまく言えなくて…とうつむいて言った。
好きな人の目がいつ覚めるかわからない、あわよくば覚めるかどうかもわからない。その恐怖と戦ってきたんだと思う。
その顔は今にも泣きだしそうだ。
「仕事でもミスばっかして、みんなに迷惑かけてるのもわかってるんだけど…どうしても、気づいたら伊沢さんのこと考えてて…正直、今はもうどうしたらいいか分かんない」
「んー…難しいよね…」
山本さんは、ぽろっと涙をこぼしながら頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 365人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おさかな天国(プロフ) - 初めて作品を読ませて頂いたのですがめちゃくちゃ最高でした…！！！お互いのもどかしい感じが堪らなくて思わず声が漏れてしまうほどでした！ (2020年9月12日 4時) (
レス) id: b7635649b8 (このIDを非表示/違反報告)
SS@踊り子(プロフ) - Azusaさん» 大丈夫ですよ！ (2020年6月2日 23時) (レス) id: acb37a6fcd (このIDを非表示/違反報告)
Azusa(プロフ) - SS@踊り子さん» あはは‥‥笑 私も書いててストーリー決まってるのにドキドキしてました笑 楽しんでいただけたのなら嬉しいです！p.s.返信遅くなってすみません。最近見に来てなかったもので‥‥ (2020年6月2日 21時) (レス) id: 1e11c41067 (このIDを非表示/違反報告)
SS@踊り子(プロフ) - 心臓に悪い(良い意味で) (2020年5月15日 14時) (レス) id: acb37a6fcd (このIDを非表示/違反報告)
Azusa(プロフ) - Yさん» 本当ですか！？嬉しい‥‥！最後まで読んでいただいてありがとうございました。ちゃんと完結させられて良かった‥‥笑 (2020年5月14日 22時) (レス) id: 1e11c41067 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Azusa
| 作成日時：2020年4月28日 8時
