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68話 ページ19

暖かい風に優しく包み込まれる。


耳元では草木が揺れる音がした。


ゆっくりと重い瞼を開けると、其処には目を疑う光景が広がっていた。



昔見た、あの森の景色。






「_やっと起きたんだね。」



声のする方に顔を向けると、其処にはシオンが居た。



『……し、シオン?』



そう言うと彼女は瞳を細めて笑った。



「驚いた?久しぶりだね、A。また会えて嬉しい。」




『……此処は?シオンが居るって事は……俺は死んだの?』



そう言うとシオンは少し悲しそうな顔をした。



「_死んでは居ないよ。世界から忘れ掛けられてるだけ。」



忘れ掛けられてる_それはつまり、存在自体が消えかけているって事か。



「……Aって馬鹿だよね。折角生かしてあげたのに、また同じ所で終わるだなんて。もっと自分を大切にしなよ。」



『……別に俺は生き返りたいなんて言ってないよ?』



「……そうじゃなくて。」


_シオンは優しすぎる。


『……俺がずっと彼処に居たら、シオンは一人じゃん。そんなの嫌だよ。』




「……。」



「シオンが時間をくれたお陰で、俺は沢山の思い出
を貰った。それだけで充分。」


そう言い笑うと、彼女はそっかと言って涙を零しながら微笑んだ。

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あずき(プロフ) - 晋陽さん» ありがとうございます! (2017年6月25日 11時) (レス) id: e1f21a4d38 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続編おめでとうございます!これからもがんばってください! (2017年6月25日 10時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あずき | 作成日時:2017年5月18日 1時

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