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昼下がりの午後。
私は大晴と住んでいた部屋の扉を目の前に深呼吸をする。
下着や ちょっとした日用品は、佐野くんと買い出しに行って足りているものの パソコンや教科書、洋服は無いとやっぱり不便で
大晴が授業で家を開けている時間に取りに行こうと少し前から決めていた。
スマホの他に、唯一の持ち物であった財布。その中に入っていた合鍵を使って扉をそっと開ければ見慣れた室内が視界に入る。
｢ただいま｣
何となく、習慣になっていた帰宅を知らせる言葉を口にしても当然 人気のない室内からは何も返ってこない。
そっとリビングへと向かえば 綺麗に片付けられた食卓が目に入って
私と一緒に住んでいる時はパジャマが畳まずに置かれていたり、食器が置いたままになっている事か当たり前だったのに
やけに綺麗に保たれている室内のせいで そわそわと落ち着かない。
キッチンの洗い場にはフライパンとお皿が1枚、フォーク、マグカップが洗ってカゴに干されていて
冷蔵庫を開けてみても最低限の食材は一通り揃っている。
パジャマは不器用だけど畳んで脱衣所に置かれているし、寝室のベッドは私の寝ていた場所の隣に大晴の寝ていた形跡が残っていて
｢…大晴、1人でこの家で生活してるんだ｣
もしかしたら もう違う女の人の家で生活してるんじゃないかなんて考えていた私にとってこの状況は余りにも想定外だった。
ふと視線の先に
私が趣味で集めていた料理のレシピの切り抜きや手書きのメモがどこから見つけたのか、引っ張り出されていて
慣れない家事を毎日1人でこなしているのだろうか、なんて色々考えては心配になる。
これ以上大晴の痕跡を見つけたら、いよいよ佐野くんの家に帰れなくなりそうで
手早く必要なものを鞄に入れて玄関へと急ぐ事に。
服を詰める途中、大晴に貰ったお揃いのトレーナーを手に取ったものの
別れ際の佐野くんの顔を思い出しては やっぱり持ってく気にはなれなくて
そっと洋服棚に仕舞っては 部屋を後にする。
重い鞄を背負い直して 扉を施錠しながら
室内からキツイ香水の香りがしなかった事に
それより何よりも、2人で使っていた柔軟剤の香りが変わらずした事に
どこかほっとしてしまう自分がいた。
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🧡 - お話を残してくださっていてありがとうございます。色々あるとは思いますが、主様のペースでまた更新してくださることを願っております。 (4月29日 4時) (
レス) @page25 id: ef4e505a5a (このIDを非表示/違反報告)
🍊 - 彼がいなくなってから4ヶ月が立とうとして、お話を消してしまう方も増えてきてある中、お話を残すと決断していただけたことがとても嬉しいです。小豆さんのペースで構いませんのでいつか続きを読める日が来ることを願っています。 (4月22日 0時) (レス) id: a96f846140 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 初めまして。彼がいなくなってから、必死に彼の欠片をかき集めて過ごしています。小豆様の作品は今の私の心の安らぎです。無理をしない範囲で出来そうでしたら、どうか、彼が "いる" 世界を、彼と幸せになる夢を、見させてもらえませんか。勝手ですみません…。 (1月9日 8時) (レス) @page25 id: 6e897e6e41 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん - 初めまして。とても好きな作品です。大晴くんメインのお話を探していてふらっと読み始めましたが、ぐっと惹き込まれ一気に読み進めていました😳何度も読み返しても面白く、ずっと読んでいます。これからも応援しています！ (6月17日 19時) (レス) @page19 id: c254f6da16 (このIDを非表示/違反報告)
未憂(プロフ) - お疲れ様です！大晴の作品🥰と思って読み始めたら晶哉が可愛過ぎて思わぬところできゅんきゅんしちゃいました💗 (5月23日 13時) (レス) @page17 id: 023bae73aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆 | 作成日時：2023年4月27日 21時
