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佐野くんの部屋は綺麗に片付けられていて、
大晴みたいに脱ぎっぱなしの衣服や、広げたままのプリントなんてひとつもなかった。
床に座って、ぼうっと部屋を眺めていれば
温かい飲み物をマグカップに注いで持ってきてくれた佐野くんが隣に腰を下ろす。
ど〜ぞ
片方を手渡した佐野くんは
それはもう一生懸命にふぅふぅ、と
湯気の立つ自分のマグカップに息を吹きかけて
やがて、ゆっくりとマグカップを傾けては
熱ぅ……
冷まし足りないのかこっちを向いて顔を顰めた。
｢もしかして佐野くん、猫舌?｣
思わず笑えば
｢猫舌かは分からへんけど熱すぎるのは苦手やなぁ｣
そう言って、また顔を顰めながら飲み物を口にする。
佐野くんは私に
何があったのかとか、いつまで家に居るのかとか何も聞いてはこなくて
ただただ隣に居て、同じ時間を過ごしてくれる。
｢ねぇ、佐野くん｣
｢ん〜?なに?｣
名前を呼べば、ゆっくりと視線を向ける君。
｢なんで何も聞いてこないの?｣
こんな事自分から言うなんて、私って結構面倒な性格なのかもしれない。
マグカップを机に置いた佐野くんは
｢なんでやろ……Aちゃんが話したくない事なら聞きたくないし、……それに今俺の隣にAちゃんが居ってくれるならそれで良いって思うからかな ｣
てか、聞かなくても何かあったんだなって位分かるし
そう付け足しては、首に付いた痕に触れる。
｢…Aちゃん、俺がこの前ぎゅってした時なんて言ったか覚えてる?｣
痕に触れる指先を離しながら不意に投げかけられた質問。
｢覚えてる｣
確か、向けられる好奇の目に耐えられなくて私から身体を離したんだっけ。
｢じゃあ、今ならぎゅってしてもいいってことやんな。誰も見てへん今なら。｣
一人で呟いた佐野くんは
私の背にゆっくりと腕を回し、私が抵抗しないのを確認すれば そっと胸に閉じ込めて
｢俺、あの時、Aちゃんの彼氏が居るのにわざと抱きしめた。｣
｢こうなったのも全部、俺のせいや。｣
かすれた声で呟くから
｢佐野くんのせいじゃないよ｣
緩いウェーブのかかった黒髪を撫でてあげることしか出来ない。
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🧡 - お話を残してくださっていてありがとうございます。色々あるとは思いますが、主様のペースでまた更新してくださることを願っております。 (4月29日 4時) (
レス) @page25 id: ef4e505a5a (このIDを非表示/違反報告)
🍊 - 彼がいなくなってから4ヶ月が立とうとして、お話を消してしまう方も増えてきてある中、お話を残すと決断していただけたことがとても嬉しいです。小豆さんのペースで構いませんのでいつか続きを読める日が来ることを願っています。 (4月22日 0時) (レス) id: a96f846140 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 初めまして。彼がいなくなってから、必死に彼の欠片をかき集めて過ごしています。小豆様の作品は今の私の心の安らぎです。無理をしない範囲で出来そうでしたら、どうか、彼が "いる" 世界を、彼と幸せになる夢を、見させてもらえませんか。勝手ですみません…。 (1月9日 8時) (レス) @page25 id: 6e897e6e41 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん - 初めまして。とても好きな作品です。大晴くんメインのお話を探していてふらっと読み始めましたが、ぐっと惹き込まれ一気に読み進めていました😳何度も読み返しても面白く、ずっと読んでいます。これからも応援しています！ (6月17日 19時) (レス) @page19 id: c254f6da16 (このIDを非表示/違反報告)
未憂(プロフ) - お疲れ様です！大晴の作品🥰と思って読み始めたら晶哉が可愛過ぎて思わぬところできゅんきゅんしちゃいました💗 (5月23日 13時) (レス) @page17 id: 023bae73aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆 | 作成日時：2023年4月27日 21時
