飛ぶ５秒前 (ページ10)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:5,499 hit

9 ページ10

「“コート上の女王”。高校時代そう言われ、消えてしまった雛山Aさん」

「えっ…」

ガラスの音が聞こえる

誰が家に侵入したように

心を粉々にしてほっといたように

飛田さんには会いたくなかった

ガラスの音に

祐希さんに迷惑かけた

「お二人に話したい」

戻らないよ。バレーはもう辞めたんだから。

「あの、飛田さん」

「なんだい？祐希くん」

「話なら俺が聞きます」

辞めてよ。君の言葉に何度も助けられた。

ガラスの向こう側に何がある。

このままでいいのに

「じゃあ…」

「Aちゃんと祐希くん」

「はい」

「2人で対談してもらうよ。バレー対談」

「「はっ？」」

意味がわからない

「言っただろ？忘れるなよ。“コート上の女王”の今は、似合わない服を着て、ケーキを売ってるつまらない奴だよ。っていうことを教えてやるんだよ」

「それは…」

「来週に打ち合わせをするから、また」

大丈夫ではできないことだ

祐希くんの目は

コートにいる時の目だった

「なんか、ごめんね」

「大丈夫。ってか、やっぱりそうだったんだ」

「うん？」

「“コート上の女王”。聞いたことある名前だなぁ～って思ってて。そしたらAちゃんだったんだね…。俺、知らなくて…」

「再会してたんだね…。私たち」

「うん。知らない間に」

衝動的に行動的に

思うのだろう

わたしは恋に落ちたこと