Another World (ページ3)

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鴨川には

修学旅行に来てる中学生やランニングをしてる人、

サックスを吹いている人、ダンスをしてる人、

ベンチに座って読書を楽しむ人、

サークルの仲間とピクニックを楽しむ人、

川の中に置かれてる石に乗っかって

写真を撮るカップル、

それからただ、ぼーっと川を眺めてる人。

各々が自分のしたいことをする、

そんな自由な空間が広がってた。

わたしは

楽しそうな笑い声をききながら

川の近くに腰掛けた。

川をぼーっと見ていると

魚がスーっと泳いでいくのがみえた。

「いるんだ、魚。」

わたしは何匹かが集まって

いろんな方向へ向かって泳いでいる姿を

目で追った。

すると反対側の川岸からきゃあきゃあという

声がきこえてくる。

声がする方に目を向けると

トンビが大群でさっきのピクニックをしていた

女の子たちの食べ物を狙って飛んで来ていた。

トンビが円を描くようにクルクルと回って

時々我こそは、って一羽が女の子めがけて飛び出す

異様な光景にビックリすると同時に

なんだか笑いが込み上げてくる。

…いや、本気で怖いと思うし笑うなんて失礼だけどね？

でもあまりにも異常なトンビたちに

君たちまでなんか自由だなぁ～っておかしくなってさ。

結局トンビは1番おいしいとこをゲットしたのに

大きすぎたのか、落としながら飛んでいった。

ふふふと小さく笑いながら

地面についた手を見ると近くにたくさん

アリさんが歩いてる。

それからふと視線を感じて横を向くと

少し離れたところから

ハトがこっちを見てるし。

「…自然すぎでしょ。」

自分は今、まあまあな都会に住んでいながら

ものすごい自然のなかにいることに

今更ながら気づく。

変なの、ここは田舎じゃないのに。

たくさんの生き物が集まってる。

いろんなカタチで今を生きるものたちが

ここにいる。

…それってなんかいい。

みんなで今を生きてる感じがする。

色んな感情をもちながら、

とりあえず、かもしれないし、

一生懸命かもしれないし、

悩みをかかえてるかもしれないし、

楽しくてしょうがないかもしれない。

どんな今かはわからないけど、

でも生きてる。

鴨川って

たくさんの人と生き物が共存する場所なんだ。

つまらない毎日、

なんか嫌な日々を送ってた私だけど

ここに来てなんとなくパワーが湧いてきた気がする。