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春、4月。
私は今年から高校生になることが出来た。
そんな日の朝でもお母さんの顔は暗かった。
それもそのはず、今年からお父さんと別居。私と2人で兵庫暮しだ。
「お母さん、いってきます」
その答えが返ってくることもなく、私は家を出た。
履きなれないローファーで歩くとすぐに足が痛くなった。
けれどそれを気にする余裕もなく、
今度こそは、と心の中で何度も何度も唱えた。
失敗するわけにはいかない。
───
私はクラス表を見て指定の教室に入った。
1年1組。
私は教室後方に貼ってある席表を見て自分の席を探す。
「お前ももバレーやんの！？｣
「おー、俺中学の時からお前らのこと知ってんで
てか関西でバレーやるんなら知らんヤツおらんやろ」
「うわー、照れるわァ」
私の席には、見知らぬ巨人が座っていた。
声をかけることすら少し怖い。
私の前の席は銀島というまた、巨人並に背の高い男子。
そちらに話しかけることすらきつそうだ。
わたしがそんな彼らを見ていると
その視線に気づいた巨人が振り向く。
「どうしたん？ あ、まさか俺に惚れた？」
「それはないやろ」
「宮くんかわいそー」
会話に女子が無理矢理にも入ってくる。ということは、
私が苦手なタイプの男子。所謂陽キャ。
この手の男子と一定量仲良くなると私は女子にハブられる。
「そこ、私の席」
「あ、ほんまや
ごめんなー、えっと沙月ちゃん」
「栗原です」
彼がどいた席に私は座る。
少し彼の体温が残っていて椅子は温かかった。
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作者名：綾鷹 | 作成日時：2018年8月9日 23時
