悪魔度6％ ページ7
「昔の何も知らなかった頃の僕はもう居ない。」
「何が言いたいのかしら？」
「何が、Aをそんな風にしているんだ。」
(ついさっき『今の僕なら分かる』なんて大口を叩いていたのに、私に聞いちゃって良いのかしら？)
「...そんな風？」
「僕にも、何も知らず純粋に楽しかった頃の記憶ぐらいある。だが、僕の記憶の中のAはいつも、今の僕のような瞳をしていた。」
そこまで言うと、ノエルは当時から唯一変わっていない髪型から覗く鋭い瞳を私に向けた。
だが、その瞳はいつもの何もかもを見据えるような冷静な色はなりを潜め、今はどちらかと言うと不安に揺れており、僅かな可能性に縋っている様にも見える。
「Aは......僕と同じなのか？」
(目付きが鋭いと言う先入観から忘れかけていたけれど、この子実はクリクリとした愛らしい目をしていたのだったわ)
今まで忘れかけていたノエルの事について思い出したからか、緩みかけた気持ちを引き締める為。私は自分に言い聞かせる意味も含め、ノエルに言った。
「私は貴方とは違うわ」
(貴方に味方は必要ない。甘えは必要ない。私の目的の為にも貴方の魂にはそのままであってもらわなければ困るのよ)
我ながら、先程までノエルに対して少しでも情を感じていたこの頭で、今では当然の事のようにこんな事を考えられている私は薄情者だなと思う。
実際誰が見ても薄情者だと思うだろう。だが、それ以上に私は自分が何者なのか分からないこの状況が怖い。所詮は私も人間なのだろう、根本にある恐怖には逆らえなかったのだ。
── ─...バサバサッ
視界の隅で、数十匹の蝙蝠の群れが飛んで行くのを捉えた。
▲▽▲
ファントムハイヴ家屋敷。ノエルとAが居る書斎が丁度見える木の枝に、一匹の蝙蝠が逆さの状態でとまっていた。
近くで数十匹の蝙蝠の群れが飛んでいるのにも関わらず、蝙蝠の群れはこの蝙蝠を仲間と認識していないらしく、この蝙蝠には脇目も振らず飛び去って行った。
一方、この蝙蝠も蝙蝠の群れに興味を示す事もなく、書斎を一心に見つめている。
よく見ると、この蝙蝠の目の色は明らかに普通では有り得ない紅色であった。
すると蝙蝠は、先程まで一心に書斎を見つめていた事など無かったかのように、今度は一心不乱に飛び去って行った。
蝙蝠が行き着いた先には一人の男が立っている。男が手をかざすと蝙蝠は消えた。
「見つけましたよ、A様。まさか人間になってらっしゃるとは......ね」
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人形師(プロフ) - 凄く面白いです！続きが気になります。応援してます！！ (2019年8月12日 12時) (
レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
桜蘭(プロフ) - カレンさん» カレン様感想ありがとうございます。面白という言葉は何よりも嬉しいです。続きを期待してくださる読者様が居ると思うだけでエタり防止になります！ (2019年5月26日 11時) (レス) id: c765aa0ae8 (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - めっちゃ面白いです！続きが凄く気になります！ (2019年5月25日 19時) (レス) id: 888a8c406f (このIDを非表示/違反報告)
桜蘭(プロフ) - 架印�靴気�» 架印�畦祐響曚△蠅�とうございます。誤字報告、直させていただきました。作者にも把握しきれていない誤字脱字があるなか、このように報告して下さるのは有り難いです。 (2019年3月29日 18時) (レス) id: c765aa0ae8 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 悪魔度３％ 服装に関する描写があるので、“洗脳”ではなく“洗練”ではないかと。 (2019年3月28日 23時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜蘭 | 作成日時：2018年8月30日 20時
