悪魔度15％ ページ16
「随分なお出迎えね」
二人のため息を聞いていた私は笑みを深めながら、壁の向こうにいる二人に語りかける。
コックに何故かノエルの寝室に案内されたものの、淑女たるもの妹の婚約者の寝室であろうと足を踏み入れることはしない。寝起きのアホズラを拝みたいという願望はあるが、そこは私の理性が駄目だと訴えた。
客室に案内された私にノエルが言葉を発する。
「Aは何故こんな時間に？」
「こんな時間ではなかったら、追い出していたでしょう？」
「それは......」
見かねた執事が話に加わってくる。
「申し訳ございません。坊ちゃんにはこれからロンドンへ行くという御勤が......」
思わぬ執事の言葉に私はさらに畳み掛ける。
「丁度いいわ。私もロンドンに行きたかったのよね。馬車にスペースはあったでしょう？」
「聞いていなかったのか？業務と言ったんだ。遊びではない」
「そんなことは知っているわ。その上で、私が納得するような理由を述べてくれないかしら」
いつものリジーのしつこさを見習ってみたのだが、想像以上に傲慢になってしまった。ロンドンということは最近起きているジャックザリッパーの事件に関係あるのだろう。それなら余計ここで引下がる訳には行かない。
「Aは昔から、事件があると首を突っ込みたがってたな」
「そんな事もあったわね」
事実だった。昔は人によって見え方が違う魂に戸惑っていた。なにせ、それを魂だとも思っていなかったのだ。凶悪な犯罪者である程に濃厚になってゆくソレが不思議で事件に立ち会うことが多かった。それだけならいいものを、凶悪犯罪者であっても濃厚ではないものもあった。同じ犯罪者であっても、個人差があるソレに私はよりいっそう興味をかき立てられたのだ。
「それは裏を返せばロンドンに事件があるとも取れるわよ？シエル」
「やはり、それが目的か？」
「今回は違うわ。ロンドンで開催されるパーティーにお呼ばれされているのよ」
「それだったら、馬車ぐらい用意されているだろう」
「かたくなね......そうだわ、それが駄目ならリジーも呼ぼうかしら」
「セバスチャン、馬車の用意を」
「御意」
(流石リジーね......今回ばかりは照れ屋なノエルも本当に嫌そうだわ)
その後馬車に乗り込み、沈黙が支配する馬車に数時間揺らされ続けた。
ノエルの別荘に着き、執事の社交期云々の説明を我が物顔で聞いたあと、別荘の一室に足を踏み入れようと執事が扉に手をかける。
(嫌だわ、物凄く嫌な予感がする......)
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人形師(プロフ) - 凄く面白いです！続きが気になります。応援してます！！ (2019年8月12日 12時) (
レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
桜蘭(プロフ) - カレンさん» カレン様感想ありがとうございます。面白という言葉は何よりも嬉しいです。続きを期待してくださる読者様が居ると思うだけでエタり防止になります！ (2019年5月26日 11時) (レス) id: c765aa0ae8 (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - めっちゃ面白いです！続きが凄く気になります！ (2019年5月25日 19時) (レス) id: 888a8c406f (このIDを非表示/違反報告)
桜蘭(プロフ) - 架印�靴気�» 架印�畦祐響曚△蠅�とうございます。誤字報告、直させていただきました。作者にも把握しきれていない誤字脱字があるなか、このように報告して下さるのは有り難いです。 (2019年3月29日 18時) (レス) id: c765aa0ae8 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 悪魔度３％ 服装に関する描写があるので、“洗脳”ではなく“洗練”ではないかと。 (2019年3月28日 23時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜蘭 | 作成日時：2018年8月30日 20時
