人気歌い手はTwitter恐怖症 (ページ5)

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3日目ページ5

A Side

近くにあった喫茶店の奥まった席に案内してもらう。私は大丈夫でも、この2人は顔出しもちょっとしてる大手だからね。バレたら大変。炎上は確定だし。……そんなこと分かってんなら誘わないで欲しいんだけど。

「えーと、こっちで紹介していい？自分でする？」

注文したものも来て、落ち着いた時に一ノ瀬さんが言う。

『あ、自分で、言います。』
「……そ？じゃぁよろしく」
『はい。えと、初めまして。須藤 Aと申します。一応、雨音という名前で歌い手をやらせてもらっています』
「え！？ほんとうですか！？！？！？」
『ほ、本当、です…………』

……えぇ、めっちゃ身を乗り出してくるじゃないですか。なんで…………

「こいつ、重度のリスナーだよ」
『え』

サラッと言われた新事実に言葉を失う。
え、そんな、大手さんが？まふまふさんみたいな、歌い手界を代表するような人が？

「ちょ、彼方さん、何言ってるんですか、勝手に！合ってますけど！！」

……合ってるんだ。

「あの！知ったのは最近なんですけど、初めて歌を聴いた時からずっと好きで！今日お会いできて嬉しいです！相川真冬と申します！まふまふ、という名前で、こっちの彼方さん、そらるさんと、ユニットを組ませて頂いてます！！」
『あ、えと。そらいろまふらーの時から、知っています。これからも、頑張ってください』
「え！！そのときから！？」
「だって、ほら、その時はまだ俺もたまにだけどコラボしてたし」
「あ、確かに」

ぽんぽん話していくふたりを、コーヒーを啜りながら眺める。

「あ、じゃなくて。ねぇ、須藤。またコラボしない？俺、須藤と一緒に歌うの楽しくて。また歌いたい。連絡手段なくなっちゃってたから、言えなかったけど。ダメ？」

あの頃のように、"須藤"と呼ばれる。その誘いはすごく嬉しくて。でも、怖くて。

『……私も、歌いたい』
「！！なら！！！」
『でも、ごめんね。もう誰ともコラボしないって決めたから』
「っ、……やっぱ、あの時のこと……」
『うん。ごめん』

ちょうど飲み終えたので、お金を出して席を立つ。

『久しぶりに会えてよかったよ。まぁ、こっちはたまにライブおじゃましてるからそんな感じしなかったけど。じゃあね』
「待ってください！！」

……かっこよく去ろうとしてたのに邪魔された……