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｢……あ。また来たんですか？帰ってください。｣
出てきたリンさんは俺達を見て直ぐに顔を歪めると、勢いよくドアを閉めようとする。
そこで、
ﾊﾞﾝｯ
｢……あっ…｣
閉められようとしたドアの隙間にジュンが足を挟んだ。
カッコイイな、おい。
｢タクトくんって子の幽霊がこの家に入っていくのを見ました。｣
｢………あ……それは…｣
少し低めの声で話すジュンの圧に押されるように、リンさんが息を呑む。
｢安心してください、何かしようって訳ではありませんから。ただ、その幽霊のタクトくんが色々と問題になってるんです。それをどうにか出来ればいいんです。｣
カズが静かに言うと、リンさんは少しだけふいて黙ってしまう。
｢……信じて欲しい。｣
｢…え？｣
｢…俺達のこと信用していいか迷ってるんでしょ？｣
｢……なんで………｣
｢俺分かるんだよね、たまに。｣
ずっと喋っていなかったサトシくんが急に喋りだした。話を聞くに、“ 声 ”が聞こえたんだろう。思っていたことがバレて狼狽えていたリンさんは、少ししてほぅと息を着くと真っ直ぐにこちらを見据えて口を開いた。
｢……………私にも分かりませんが、多分、3日後に………
タクくんは消えるんだと思います。｣
｢｢｢｢え？？？？｣｣｣｣
｢……ここではなんですからお入りください。｣
俺達を信用してくれたらしいリンさんはドアを開けて入るように促してくる。
木々の匂いがふんわりと漂う心地よい空間は室内でも当てはまるようだ。光が良く入りポカポカと暖かい。
通された部屋にタクトくんは見当たらなかったが、どこかに居るんだろうな…と思いながら腰掛ける。
｢……皆さんはどこまで知ってるんですか？｣
全員が腰を落ち着けたところでリンさんが切り出した。
｢……タクトくんの昔の事件は知っています。…………あとはタクトくんが現れたところでは良くないことが起こると。｣
｢…………………皆さんもタクくんに会いました？｣
｢はい。｣
｢何かありました？｣
｢…コケました。｣
食い気味に聞いてくるリサさんに少し押されながらも質問に答えていく。“ コケた ”というワードにリサさんはくすりと笑うと少し真面目な顔でこちらを見据えてくる。
｢…………その返答を聞く限り気づかなかったんですね。｣
｢え？｣
｢タクくんは“ 手話 ”で危険を知らせていたはずなんですけど。｣
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作者名：Kar | 作成日時：2022年9月2日 23時
