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｢追いかけようか。｣
というジュンの一言で、タクトくんから少し離れた距離から追いかける。
タクトくんはこちらの事は一切気にならないみたいで、振り返ることも無く真っ直ぐ一本道を進んでいく。
｢やっぱり、リンさんはタクトくんのお友達なんだよね。｣
歩きながら呟いたマサキに、
｢その可能性は高いと思いますけど何しに行ってるんでしょう？｣
とカズが返すのが聞こえる。
｢え！何しにって友達なんだから何も無くても行くでしょ！｣
｢あぁ、そういえばあなた昔もそうやって私の部屋に来てましたねぇ…｣
｢友達に会いに行くのに理由なんていらないって！｣
｢あなた私に能力で癒してよなんて言いに来てたくせに。｣
｢それは違うの！理由がある時もあるの！｣
目ではタクトくんを追いかけながら、後ろで2人が繰り広げるいつもの会話に耳を傾ける。まるで緊張感のない会話だが、それが2人のいい所だ。
｢じゃあ何で15年も経った今になって友達に会いに来るんですか？｣
｢多分こうやって幽霊として現れるのにも時間がかかるんだよ！｣
｢……そんな理由ですか………｣
2人の会話に相槌を打ったり、笑ったりしていると奥の方にリンさんの家が見えてきた。
昨日と同様に、木々の中太陽の光が降り注いでその空間だけ美しく彩られている。
どうするのだろうかと静かになった2人を含めて5人で様子を見守っていると、タクトくんはドアをすり抜けてするりと中に入っていった。
……やっぱり幽霊なのね
浮くでもなく普通に歩いていたから、ドアを開けるんじゃないかなんて馬鹿な考えをしていた俺は、あっさりとすり抜けて行ったタクトくんを見て苦笑する。
でもタクトくんが自分から入っていったから、2人の間に何かあるのは間違いない。
｢もう1回行ってみるか。｣
と4人に聞くと、それぞれがしっかりと頷き、今度は4人ともドアの傍に立ってくれる。
確かにリンさんからしたら俺達は嫌な存在だろうけど、こっちにも仕事があるし、何か理由があるのならどうにかしてあげたいという気持ちもある。
タクトくんの壮絶な身の上を聞けば尚更だ。
1つ息を吐いて、ベルをしっかりと鳴らすと、
｢はーい！｣
と聞き覚えのある声が家の中から響いた。
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作者名：Kar | 作成日時：2022年9月2日 23時
