No.5 ページ5
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---「おい!待て、おい!!」
さっきの"お父さん"と違って、男たちは私を追いかけてきた。
A「ハァ…ハァ…ッ……」
彼らをどうにか撒こうと、細い道を選んだり、角を何度も曲がるが、なかなか撒くことができない。
なんとかして人通りがあるところに行かなくちゃ…
A「…ハァ…ッ……もうッ…」
なんで………
なんで、私がこんな目に合わなきゃいけないの…
肺が張り裂けそう。
もう足を止めてしまおうかと諦めてしまいそうになった時、目の前の通りに車が走っているのが見えた。私は最後の力を振り絞って、走るスピードを上げた。
-----ドンッ!!!!!
「きゃっ…!」
A「わ…っ!」
大通りに出た瞬間、誰かに勢いよくぶつかってしまい、お互いに尻餅をついた。
A「ご、ごめんなさい…!大丈夫ですか!?」
「い、いえ…あなたこそ大丈夫…?」
彼女の言葉にハッとした私は、自分が出てきた路地裏を勢いよく振り返ると、そこにはもう男たちの姿はなかった。ホッとして地面に手をつき、安堵のため息をもらしたが、私の心臓はまだバクバクとうるさく動いていた。
「ねぇ、あなた、本当に大丈夫?ケガをしたんじゃない?」
顔を上げると、ぶつかった女性が心配そうに私を見つめていた。
その女性は、栗色のショートカットで、澄んだエメラルドグリーンの瞳をした女性だった。
初めて………私の身を本気で心配する眼差し…。
A「だ、大丈夫です………わたしなんかより、あなたのほうが…」
そう言いながら、私の目には涙が溢れてきた。
A「う…うぅ…ッ……」
「やっぱり、どこか痛いのね?足をくじいたの?頭をぶつけた?」
彼女の言葉に、私は泣きながら頭を横に振った。
ケガをしたわけではない。ただ、彼女が言うように痛かった。
どこが痛いのかはわからないけど、たしかに痛かった。
何も言わない私を、彼女はそっと抱き寄せ、優しく包み込んでくれた。
「あなた……一人なの?」
彼女の腕の中で、私は嗚咽を漏らしながらも静かに頷いた。
「………ご両親は…?」
A「…わ、わから…ッ…ない…」
「そう……」
彼女はそう言うと、黙って私の背中をさすってくれた。
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るるるs - 鋼の錬金術師AFじゃなくてFAですよ。 (2022年7月27日 0時) (レス) id: 7f6b75982b (このIDを非表示/違反報告)
篠懸 菖蒲(プロフ) - ポケットの案内人さん» ポケットの案内人さん コメントありがとうございます!そう言っていただけて私もすごく嬉しいです(><)更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年8月16日 8時) (レス) id: 21fdeed85c (このIDを非表示/違反報告)
ポケットの案内人(プロフ) - 私、ハガレン大好きなんですよ!夢小説書けないのに夢主勝手に想像したり、そしたらこの小説があったのでメッチャ嬉しいです!頑張ってください! (2020年8月15日 23時) (レス) id: 4ccf657d3b (このIDを非表示/違反報告)
篠懸 菖蒲(プロフ) - みーこさん» みーこさん ありがとうございます!そのように言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります(><) (2020年6月23日 10時) (レス) id: 21fdeed85c (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - 面白かったです!更新頑張ってくださいね! (2020年6月23日 10時) (レス) id: 19c92306d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菖蒲-アヤメ- | 作成日時:2020年6月12日 23時