キミを知らない世界。【ハガレン】

No.12 ページ12

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A「ふー……」


私は天井を見つめながら、大きく息を吐いた。



今日一日、いろんなことがあった。

ただ、"あの部屋"で目覚めた以前の記憶は今もなお、思い出せないままだった。



なんだろう…ただ忘れてしまっているというより…


頭の中から記憶がすっぽりと抜けてしまっている感じ…。



自分の名前はわかる。


他にも、今まで自分が見たことがあるものや聞いたことがあるもの、そして、経験したことがあるもの、そういったものもわかる。




たぶんだけど…家族に関する記憶だけが一切ないのかもしれない…。



お父さん……"あの部屋"にいた"あの人"は本当にお父さんなのか…？



そして…


お母さん……お母さんはどこにいるの…？


お母さんの顔、声、思い出…何も思い出せないが、お母さんのことを考えるだけで胸の奥がぎゅーっと締め付けられるように苦しくなった。



とりあえず今の私には情報や手がかりが少なすぎる…。

これからまたいろいろ考えないと…。


しかし、考えることに疲れた私は、ゆっくりと目を閉じた。



A「今日から……ここが……わたしの家………」



そう呟いた私は、そのまま深い眠りについたのだった。

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