一夜の過ち２【JK】

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TH「それ。肌身離さず付けててね！」



姉の反応などお構いなしに
そう言って私の胸元を指差す。



弟の指をたどって視線をやると
身に覚えのないネックレス。



　『…え？ なにこれ？』



…いつの間に…？



TH「それを付けていれば
　 “天使様のご加護”が
　 あるでしょう〜。」



片手を胸に、
もう片方の手を上に伸ばしながら
芝居がかった言い方で
意味不明なことを言う。



そんな様でさえ
絵になってしまうから憎たらしい。



　『…いや、要らないよ。
　 ネックレスもうあるし…。』



…ジョングクからもらった…
アンモライトのネックレス。



付けてもらったあの日から
一度もはずすことなく身につけたまま。



TH「Oh〜素敵なネックレスですね〜。
　 それも一緒に付けていれば
　 効果は絶大でしょう〜。」



…ダメだ、
完全に入っちゃってる。



楽しそうに小躍りしながら
繰り広げられている
“テテワールド”。



もうツッコむ気も起きず
呆然と見守る。



やがて満足したのか
急に近寄って来る。



TH「いいですか？
　 絶対にはずしてはいけません。
　 …そして、」



人差し指を立てながら
私に顔を近付け
念を押すように言う。



TH「何かあればこう言うのです。
　 …“助けて” と。」



最後の言葉だけ
真剣な顔と低いトーンに変わる。



その言葉が、
なぜか胸に刺さり困惑する。



…テヒョン…？



いつも掴みどころのない弟の
真っ直ぐな目。



弟のこんな目は初めて見た。



　『…うん。』



困惑しながらも弟と目を合わせたまま
恐る恐る返事をする。



TH「よろしい！
　 では〜…さよ〜ならぁ〜！」



先程の顔が
嘘のように一瞬でいつもの顔に戻り
大げさに手を振りながら去っていく。



……………。



なんだったんだ…。



あの四次元ボーイと
血が繋がっているとは
信じられない姉だった。



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