一夜の過ち【JK】 (ページ28)

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…気が重い。

SNS事件から一夜明けた今日
仕事に向かう足取りは
信じられないほど重かった。

バスを降りて会社の前を歩いていると
遠くから
人だかりが近付いてくるのが見える。

…ん？

あれはまさか…。

人だかりの先頭で顔を隠しながら走る男。

しかし人だかりも
負けじとすがりつきながら
彼に向かってカメラやマイクを伸ばす。

立ち尽くしたまま唖然としていると
必死に走る
チョン・ジョングクと目が合う。

…あ。

次の瞬間
一気にスピードを上げ近付いて来た彼は

JK「行こっ！」

私の手を取ってまた走り出す。

　『どぅえええええぇっ！？』

片手を引っ張られたまま
カッコ悪い走り方の私。

人々の注目の的となっているが
そんなことも気にならないくらいの
とんでもないスピードに
おばちゃんは死に物狂いで足を動かす。

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬっ…！

限界を迎える寸前
会社のエレベーターに滑り込む。

どうやら報道陣たちは
警備員さんに止められたようで
ふたりで胸をなでおろす。

息を整えていると

JK「ヌナ、走り方おもしろすぎ…！」

肩で息をしながら楽しそうに笑う。

　『…うるさい。』

自分のペースだったらちゃんと走れるわい。

ムッとした顔で言うと

JK「かわいかったですよ？」

少し目を細めて愛おしそうに見つめてくる。

…し、死ぬっ…！

ただでさえ早い心拍数が
更に上がりそうになって胸を押さえる。

JK「…ふたりっきりですね…。」

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