所謂3 ページ3
連れてこられた喫茶店で、彼女は優雅に抹茶パフェを頼んだ。
敦も同じようにパンケェキをを注文する。
ついた喫茶店は、最近オープンした新しいところだった。
「ねぇ君さ」
不意に、彼女が話しかける。
「なんでしょうか」
敦は答えつつお冷を喉に流し込む。
「太宰治って、どんな喋り方するかわかる?」
「喋り方?」
しばし口をつぐみ、考える。真逆喋り方を問われるとは考えていなかったからだ。
「``聞き給え``とか、``分かるかい?``とか…」
「少しだけ上から物を言う人物なのね」
頷く。彼女はふぅん、と間延びする答え方をすると少しだけ目を細めた。
「太宰って、貴方から見たら、どこがすごい人?」
これまた難しい質問だ、と心の声が漏れそうになる。
「一番は異能力ですかね、『人間失格』って言って、相手の異能力を無効化するところです。あとは___やっぱり頭の回転が凄く早いところだと思います」
今朝、仕事内容の話を太宰さんとしたときに、あまりの頭の回転の速さに度肝を抜かれた。
改めて、すごい人だなぁと感じる存在だ。
「‥_______そうな人ね」
「__?」
彼女が、何かつぶやいた気がしたが、カフェノざわめきにかき消されてしまう。
今日はやけに人が多い気がした。
平日なのに、珍しい。
「僕、貴方のことなんて呼べばいいでしょうか?」
モブキャラ1さんとは呼べない。流石に。
「気怠いなぁ、どうしてそこまでして名前を呼びたがるのさ」
「そりゃあ、貴女はどう思っているかわかりませんが、僕は知り合いだと思っていますから。」
鋭い視線が敦を射抜く。だがしかし、名前を尋ねるくらい礼儀と言うもの。悪いことは何もしていない。
彼女が注文した抹茶パフェが着き、スプーンで上に乗るアイスクリィムを一口すくう。
緑の美しい色が、彼女の口に吸い込まれていくようで。
「君、珍しい人だねぇ」
ひとしきりパフェを堪能すると、彼女は口を開いた。
「そこまで言うなら、まぁ、名前くらいいいかも。ただし、絶対に誰にも言っちゃだめよ?」
紅い瞳が敦を捉えて離さない。
「言いません。」
「____A。」
A、かぁ。
敦のパンケェキが届いた頃には、彼女は抹茶パフェを平らげていた。
「情報提供ありがとう敦くん。」
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作者名:抹茶パフェ | 作成日時:2018年1月15日 16時