9話 ページ10
でも、自分がどう思おうと仕事はしなきゃならない
ハクは姫様の近くで、私は遠くで姫様を守っていた
仕事の時はきちんと話すことが出来るのに
いざと言う時話せなくてハクとは少し気まずい感じになってしまった
私がハクを避けてしまうから...
私が避けるようになってからはハクは私とではなく
姫様やスウォン様と一緒にいることが増えていった
そして今日は、姫様の16歳の誕生日を祝う宴が開かれる
私にはなかった、生誕祭だ
私は人の前には出られないから会場の外から姫様を見ていた
「ねぇ、なんなの？あの女」
「まるで監視してるみたいだな、気持ち悪い」
ﾋｿﾋｿｯ
会場で話が広まっていたので一時的に外の見回りに出た
A「(もう、こんなことにも慣れてしまった)」
私は遠くから姫様を見ているのが仕事だから、城の人間たちには散々言われてきた
「気持ち悪い」
「あんなものを姫様の従者にするなんて...」
「そのうち姫様や陛下の命を奪うのでは？」
私は、確かに愛されている妹が憎くて憎くて
殺そうかと思ったこともあった
でも、彼女は何も知らないただのお姫様
彼女に八つ当たりしたところで何もならない
むしろ自分の立場を脅かしかねないと瞬時に悟り
そんな感情は無くなった
いや、その感情を消すしか方法がなかったんだ
A「私は、何のために生まれてきたの...
(ダメっ、泣いてはダメ！)」
私は人前では絶対に泣かない
泣く時は、自分の部屋かカイの前でだけ
A「(自由に、なりたい)なんて、無理に決まってるのに...ん？あれはハクとスウォン様」
2人が楽しそうに話しているのを見て、話しかけるのを辞めた
私は、あんなに話しかけてくれようとしたハクを無視し続けた
近くにいれるわけがないんだ
ﾊｸ「……」
私はそのまま一時的に部屋に戻っていた
普段は普通の剣を持っているが、今日は嫌な予感がして黒刀に変えた
鏡の前で、自分の着ているハクと色違いの服を見た
A「ハクは、私の事どう思ってるのかな」
いつも懐に入れている風の都に行った時に貰った耳飾りを握りしめた
その日の午後は大雨が降った
A「(姫様はどこだ？ハクがついてると思うから大丈夫だとは思うけど...)
それにしても、変な気配がするな...ネズミが入り込んでいるのか？」
私はそれからも外の見回りを続けた
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作者名：カッパ | 作成日時：2021年8月5日 1時
