43話 ページ44
ｼﾝｱ「ん〜」
A「シンア、誰かいる？」
ｼﾝｱ「ﾌﾙﾌﾙ」
ﾕﾝ「いない？じゃ、行こ」
ﾕﾝ「遠視能力いいなぁ、人通りのないとこ探すの楽」
ｷｼﾞｬ「おぉ、お役に立ってるぞせい...あぁ、Aから名を賜ったらしいな
シンア、良い名だ...大事にするのだぞ？」
ｼﾝｱ「ｺｸﾝ」
ｷｼﾞｬ「良いか、四龍と言うのはだな...」
A「お兄ちゃんみたいね」
ﾕﾝ「なんかAって、四龍の姉みたいだけど
どっちかって言うと妹だよねね」
ﾊｸ「小せぇからじゃねぇか？」
A「ハク！」
ﾊｸ「やべっ」
ﾖﾅ「ここは...」
ﾕﾝ「見捨てられた村、将軍や王からね」
ﾖﾅ「っ！」
ﾕﾝ「この辺は何年も作物が実らなくて水もない
男たちは兵役に取られて都に連れていかれたんだろ
病気が流行り、移住する力がないものはここで死ぬしかない」
ﾖﾅ「酷い...」
A「これが現状です」
「ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯ」
ﾖﾅ「大丈夫？」
ﾕﾝ「近寄らない方がいい、病が移る」
ﾖﾅ「でも...」
ﾕﾝ「気休めかもしれないけど薬と水、あと果物」
私は水を持っておじさんに飲ませた
A「ゆっくり飲んでください」
ﾕﾝ「ﾌｯ」
「ｺﾞｸｯｺﾞｸｯ...ありがとう、あんたら彩火の人か？」
ﾕﾝ「いや、旅の者だよ」
「そうか、なら空都には行ったかね
新しい王様が立たれたというがどんなお方だろう
先王、イルは酷い王だった」
ﾖﾅ「っ！」
A「……」
「今度の王様は良い方だといい、この国を変えてくださる方だといい...あぁ、娘さんありがとう
誰かに触れてもらったのは何年ぶりか...」
A「いいえ、どうかお元気で」
ﾖﾅ「わ、私ちょっとご不浄に...着いてこないでね」
ﾕﾝ「俺、何も言えなかった
俺も、イル王をよく思ってない人間だからさ
でもヨナにはたった一人の肉親なんだよね」
ｷｼﾞｬ「...先王の死を痛むものはおそらく誰もいまい
歴史には愚かな王であったと記されるだろう
たった一人の姫の事など、気にかける者は誰も...」
ﾊｸ「確かに武器も争いもなく誰も傷つかない世界なんて夢物語でしかない
だが、それが理想だと言って揺るがなかったイル王を、俺はどうしても愚かだと思えなかった」
A「(ハクは慕ってたんだね、心の底から...)」
ﾊｸ「緋龍城で守りきれなかったこと、俺は生涯悔やむだろう」
ﾕﾝ「雷獣は認めてたんだ、ヨナの父とか別にしてイル王を主だと...」
ﾊｸ「当たり前だ」
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作者名：カッパ | 作成日時：2021年8月5日 1時
