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第9話 ページ11

『どう、して……』





「おい、Aか?いろいろ話したいことがあるんだ、今すぐ会おう。」



『ごめ、ん…なさい……』




優しい声色で話しかけられた。だけど私は知ってる。
これは上っ面だけの声。



動かない口を必死に動かし言葉を紡ぐ。






『もう、会えないか、ら……』



「ちょっと待て!俺が悪かった、もうあんなこと…俺反省したんだ。だから……」







それ以上の言葉は聞きたくなくて電話を切って携帯の電源を落とすと
黒に染まった画面を今まで堪えてきた涙が濡らしていく。







息が、、くるし、い……








『はぁ、はぁ…っ』





うまく息ができない。




頭がちゃんと回らない。







『ごめんなさ、い…ごめんなさい……ごめ、、んなさ、い……』









心臓がドクドク波打って、心が痛くて、頭が痛くて



苦しい
苦しい
苦しい。







誰か、助けて……ーーーーー








ーーーーーーーーーーーーーーー






あれからどれくらい経っただろうか。

部屋の隅でうずくまって泣くことしか出来なかった。
過呼吸になったせいか、気持ち悪くて
胃の中の食べ物を吐き出した。








涙なんてとっくに枯れてるはずなのに溢れて止まらない。


怖い。


彼から着信が沢山来てるのが目に見えて分かっているから怖くて携帯を開けない。





閉じきったカーテンの隙間からは私の気持ちなんてお構い無しというかのように光が差し込んでいる。





…あぁ、仕事行かなきゃ……



なんだっけ今日の仕事、たしか…





立ち上がろうとしたけど、1晩ずっと座り込んでいた私の身体がちゃんと立ち上がれるわけがなく
目の前が真っ暗になって世界が傾くような感覚と共に、体に痛みが走った。






ピンポーン





家のチャイムがなって、出なきゃと体を起こそうとする。


体が重い。




どうにか座る体制になって壁に手をかけてゆっくり立ち上がる。



ドア越しに誰かの声が聞こえる気がする。







私の家のドアは、私が出るよりも先に開いた。





誰……?



佐々木さん?





久しぶりにまともに光を浴びて、顔まで認識できないその人のシルエットは女の人では無かった。






もしかして…っ……









『やだっ……や、だ……来ないで……おね、がいだから…ごめんなさい、謝るから…、怒んないで、、、叩かないで、おね、がい……』









そこで私の意識はプツンと音を立てて切れた。

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- 読ませていただきました、読んでいてとても楽しいです♪続き楽しみにしてますね (2017年8月12日 5時) (レス) id: f5f412bd1c (このIDを非表示/違反報告)
枢木朱花(プロフ) - 夜月さん» ありがとうございます!励みになります頑張ります!! (2016年8月30日 0時) (レス) id: c99f865d08 (このIDを非表示/違反報告)
夜月(プロフ) - お気に入り登録させていただきます(^^)更新ファイトです! (2016年8月29日 2時) (レス) id: 61c0ff7a24 (このIDを非表示/違反報告)
枢木朱花(プロフ) - ちゅんさん» ありがとうございます!最近更新遅くて申し訳ないです… (2016年8月28日 0時) (レス) id: c99f865d08 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!更新頑張ってください!! (2016年8月27日 1時) (レス) id: 3e37232869 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:枢木朱花 | 作成日時:2016年8月8日 21時

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