苦手だけど憎めない水上くん

おうちで ページ4

ピンポーン








ガチャ









水上「Aー。」






「はーい。」






水上くんは靴を脱いでビニール袋を持ってこっちに来た。









「何持ってるの？」




水上「いや手ぶらもどうかと思って、リンゴジュース。Aの好きな。」




「あぁ、ありがとう」






わたしは水上くんの部屋の鍵を持っている。







理由は水上くんが寝坊しないように、起こしてくれた頼まれたから。





ピンポンだけじゃ聞こえないんだって。






週に2回くらい寝坊する水上くんを、わたしは肩を揺らしていつも起こしている。









一方で水上くんはわたしの部屋の鍵を持っている。





理由は特にないらしい。




強いていえば、わたしが水上くんの鍵を持ってるのに、水上くんがわたしの鍵を持ってないのは不平等でリスキーなんだとか。









よく分からない理論だけど、特に困ることもないから鍵を渡している。









水上くんのしっかりしてるところは、





今日みたいにちゃんとピンポンを押してから鍵を開けるところ。







一回わたしが泥棒だと思って、水上くんの頭をほうきで叩いたことがある。







それに関しては申し訳ないと思ってる。









水上「でもびっくりしたよ。」



A「なにが？」




水上「ラーメン屋さん行かないで、インスタントのラーメンをスーパーで買うのかぁ」




A「ラーメンの気分だったから。」








手を洗った水上くんは、お箸を用意してくれた。






そういうところ、本当に尊敬するよ。









水上「手伝うことある？」




A「特にないやー。ありがとう」





水上「はいよー」









ラーメンが出来上がり、お皿に装って持っていく。







頬杖をついた水上くんがふにゃぁっと笑った。









水上「ジュースどうぞ」




A「ありがとう」








わたしと水上くんは、乾杯をした。

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