その三 ページ5
ちゅんちゅん
翌朝、沙世は目を覚ます。傍にはぐーすか寝ているどろろ。丸太には昨晩と変わりなく座っている青年がいた。
「おはよう兄さん。」
沙世は青年に挨拶するがやっぱり答えない。その様子に沙世は苦笑い。そしてまだ寝ているどろろを起しにかかる。
「どろろ!朝だよー!起きてー」
「んー?沙世姉ちゃん?あ、おはよう!」
「うん、おはよう」
どろろはなんだか嬉しそうだ。ずっと一人の様だったし、誰かに朝の挨拶するのは久々なのかもしれない。
「どろろ。顔洗いに行こ?そしたら朝ごはん取りに行こうか」
「うん!」
沙世とどろろは川で顔を洗った後、木の実を取りに行った。
*
「姉ちゃん、こっちにもある!」
「ホントだねー」
木の実を取る沙世とどろろ。傍から見れば仲の良い姉弟だ。すると旅人二人が通りかかる。
片方はもう一人にあることを話し始めた。
「次の村は違う場所にするぞ」
「あ?なんで?」
「なんでもこの先の村にバケモンが出て旅人やたまに村人がいなくなるらしいぞ」
「ハア!?それ本当なら違う場所にしたほうがいいな!」
そう言って旅人二人は去っていった。どろろはなぜかぷるぷる震えている。
「どろろ?」
沙世は恐る恐るどろろを呼ぶ。
「来たぁ!!さっそく兄ちゃんに伝えないと!!」
そう言ってどろろは青年のいる川へ戻った。
「あー…やっぱり」
沙世はそう呟きながらどろろの後を追った。川では青年が昨日と同じく刀で魚を取っていた。
「おーいっ!きたきた!!」
どろろは木の実を置いた後、「儲け話を見つけてきた」と大喜びで報告するのだった。
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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時