その六 ページ38
山の頂上には新しい嫁がいた。そして黒い雲が山を覆い、百足が現れた。すると嫁が立ち上がる。
「やーい!こっちだこっち!」
呼んだのはどろろ。百足は嫁を食うために現れる。その嫁が逃げたら?当然追いかけてくるだろう。沙世がさるにお願いしたことはお梅の形見となってしまった綿帽子と羽織をおびき寄せに使う事。。そのお願いにさるはあっさりと「いいぞ」と言った。お梅の仇をとれるならどんなものでも貸すつもりだったのだ。そしてなぜどろろが身にまとっているのかというと。さるは火矢を放つために待機しないといけない。沙世は刀を羽織の下に隠してもバレてしまう。なので足も速い。小柄だから岩の影に隠れやすいどろろに決まり、沙世はどろろが捕まらないための補助をすることになった。こうして開始されたおびき寄せ作戦。どろろは自らの体格を生かし、少しずつ臭いが溜まっている場所に近づいていく。
「そろそろだな…わ!」
羽織が岩に引っかかり転んでしまう。百足はすぐそこ。
「わあ!!」
その時だ。
ガシ
「え?」
ドドドォン!
「ふー間に合った」
「沙世姉ちゃん!」
沙世が上手く助けてくれた。胸を撫で下ろすどろろ。
「あっぶねえー……、頼んだぞ、さる!」
「お願いね」
二人は待機しているさるに言う。百足は作戦通り、羽織でおびき寄せられた。さるは火矢を放つ。その瞬間。
ドガアアアアァァァン!!
爆発した。しかし百足はあれだけの炎でも燃えてくれない。だが雲は違った。爆風のおかげで日が入って来る。そのおかげで百足は苦しんでいる。
「やった!」「「そのまま、陽の光に溶けちまえ!!」」
作戦は大成功。そう思ったのだが百足の様子がおかしい。とぐろを巻くと体中から雲を吹き出し始めたのだ。
「ちきしょう…、こんだけやってもダメなのかよ!」
すると百足の体に石が当たる。
「兄貴!」
百鬼丸があの羽織を肩にかけ、弓矢を持っていたのだ。
「百鬼丸兄さん弓使えたの!?」
百鬼丸は矢を放つ。矢はコツンと当たるだけ。なのに百鬼丸はやめない。三本目の矢が当たった瞬間、刀を抜く。そして…
ザシュ…
百足の目を切りつけた。視界を塞がれた百鬼丸は、矢の当たる音で妖の位置を確かめていたのだ…。
すると百足は起き上がる。
ドガッ
「ぐ!」
百足の攻撃のせいで百鬼丸は倒れてしまった。これはマズイ。
「そうだ、音だ!」
どろろはなわを持って走る。
「どろろ!?」
どろろは縄を自分の胴体と百足の頭に縛る。
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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時