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その四 ページ36

(水の呼吸・捌ノ型…)


沙世が刀を振り上げた時だった。

ブシャア!

間欠泉が噴き出たのだ。雲が晴れるや、百足はもがき苦しみ去る。その場は元の天気になった。

「助かったぁ〜………」

どろろは思わず座り込む。………さるはお梅が被っていた綿帽子と着ていた羽織を悔しそうに見ていた。



一同はさるの家に来た。すると百鬼丸は沙世の袖を引っ張る。

「どうしたの?」

沙世の問いに百鬼丸は彼女の刀に触れた。

「私の刀?」

しかし百鬼丸は不満気に首を横に振る。違うみたいだ。

「刀…刀……師匠?」

その問いに百鬼丸は頷く。当たったようだ。

「私の師匠がどうかしたの?」

百鬼丸はいきなり手のひらで沙世の両目を隠した。その行動に沙世はビックリする。

「ちょっとどうしたの兄さん!離して!見えないよ!?……見えない?…もしかしてあの時、見えなかったの?」

手のひらを離した百鬼丸は頷き、また沙世の刀に触れる。あの時は見えなかった。沙世の師匠はどうしていたのかを聞きたかったようだ。ようやく百鬼丸が伝えたかったことがわかった沙世は師匠はどうしていたかを考える。

「確か師匠はね。”目を塞がれたなら、耳、鼻を使い、空気の流れを感じ取れ。実際、目が見えない者はそうやって戦っている。”って言ってた。百鬼丸兄さんの場合は耳だね。蜘蛛女とおじさんが近づいてきたことに耳ですぐに気づいたから」

沙世の説明を聞いた百鬼丸は座り、近くにあった石を少し離れた岩に投げる。当たるたびにこんっと音を出す。百鬼丸なりに考えているようだ。………が

(兄さん……拗ねているようにしか見えないよ)

なんだか泣きそうになる沙世だった。するとさると話し合いをしていたどろろが現れる。

「理由は分かんねえけど、あの雲の中じゃ、兄貴はまともに動けねえ。オイラ達で何とかしねえと」

どろろ達も拗ねていると思ってしまっている。無理もない。

「ン…? あの雲、前よりデッカかくなってねえか!?」
「ホントだ!大きくなってる」

どろろと沙世の言う通り、残され雲は大きくなっていたのだ。そう言っているとひらりひらりと何かが飛んでくる。さるがそれを見て驚いた。曰く奴の皮だそうだ。

「まずいぞ、百足ってのは脱皮するとおっきくなるんだ!」
「おっきくって…あれよりもか!?嫁を貰ったら大人しく帰るんだろ!?」
「絶対昼間の事で怒ってるんだよ」

沙世の言葉にさるも同意する。どろろは何か弱点を突かないかと考える。

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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時

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